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2008年07月28日(月) 11時09分

嬬恋の地熱発電計画で、草津温泉が大ピンチオーマイニュース

 キャベツ日本一の群馬県嬬恋村で地熱発電建設計画が持ち上がったことで、隣町の草津温泉では、町民挙げての反対運動が起こっている。源泉の近くで地盤を掘り進めると、水源に影響し、草津温泉が枯渇する可能性があるからだ。

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 毎分3万2300リットル、日本一の湧出量を誇り、年間300万人が訪れる草津温泉が枯渇するかも知れないというのだから、ただごとではない。有史以来の危機到来だ。

 7月25日午後1時から旅館、観光関係者、町民、観光客ら約500人が集まり、「草津温泉の源泉を守る町民集会」が草津温泉湯畑で開かれた。

 ことの発端は、隣村の嬬恋村で地熱発電建設計画が持ち上がったこと。いきさつを嬬恋村総務課に聞いてみた。

 それによると、村では2003年にエネルギービジョンを作成し、地熱、太陽光、風力などが検討された。そして2007年度、地熱エネルギーを重点として、調査を始めるという冊子をつくった。村長が今年3月に草津町に持っていったと言うことらしい。

 「場所はどこですか。石津硫黄鉱山跡地ですか」とたずねると、「もうチョット上の方です」という。本白根山の山麓に計画されているらしい。

 この建設予定地は草津温泉の湯畑から約2キロメートル離れ、草津温泉が現在60%の供給を受けている万代源泉から、わずか3.5キロの距離にある。もしこの計画が実現すれば地下水に変化が生じ、草津温泉が枯渇する危険がある。

■草津町側には、切実な問題

 25日の町民集会で、町長は「源泉を大切に守る、温泉文化を守ることは草津人、草津町の使命であるという課題を共有して欲しい」とあいさつし、温泉地、大衆文化を守るために、一致団結して取り組んで欲しいと訴えた。

 議会関係者は、全国の地熱発電所と周辺の温泉地を視察し、その報告をした。

 それによると、源泉が草むらになっている温泉地や、環境破壊の進んだ温泉地があるという。なぜ今まで問題にならなかったかというと、地熱発電所を作った 30〜40年前は、影響が分からなかったためだ。硫化水素やヒ素の問題、地震、大規模な地滑り……。地熱発電所は使った後の熱水を断層めがけて戻すため、常に地震を起こす危険性があるらしい。

 経済性の点でも問題がある。発電単価を調べると1kWh(キロワット時)あたり原子力が9円、火力が10円、風力13円、地熱は16円。決してバラ色の発電ではないことが分かったと報告した。

 ボーリングの本数も多い。本白根山麓に100本もの穴をあけ、1000キロワットの発電をおこそうとしているというが、考えただけでぞっとする計画だ。

 嬬恋村側は、石津(嬬恋村内の草津白根火山南麓)に6本のボーリングをして、調査させて欲しいとしている、今までの視察の結果から「地熱発電は温泉を枯らす」ことになる。

■嬬恋村はキャベツでがんばれ! 草津は温泉でがんばる

 自然エネルギーは自然を破壊する。地球環境の破壊にもつながるし、温泉文化が消える。

 54人の女将で構成する「草津温泉湯の華会」の代表からは、「毎日心からお客を迎えているが大変な事態が発生した。皆様のご理解を得、心からお迎えできるように一生懸命やりたい」との決意表明があった。

 そして最後に「草津温泉を守り、そして日本の温泉文化を守ろう」と決議し、シュプレヒコールをあげた。

 地球温暖化や原油高騰に伴い、新エネルギーの採用は最重要課題である。世界有数の火山国である日本は豊富な地熱資源を持っていると考えられているが、日本のエネルギー供給に占める地熱の割合はわずか3.1%(2006年度)。施設数は19、合計出力は53万キロワット。まだまだ可能性は大きい。

 とはいえ、国立公園内で厳しい開発規制もあったり、温泉枯渇も懸念され、草津町のように地元の調整が難しいのも現実である。

 開発を進める前にもう1度、問題点を整理する必要がある。

(記者:矢本 真人)

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