2008年07月26日(土) 08時01分
ストーカー判事「申し訳ない」 即日結審し来月判決(産経新聞)
部下だった20代の女性職員に「もうお風呂入った?」「身体きれいに洗っておいてね」などのメールを匿名で16回送ったとして、ストーカー規制法違反の罪に問われた宇都宮地裁判事、下山芳晴被告(55)に対する初公判が25日、甲府地裁(渡辺康裁判長)で開かれた。下山被告は「すべて間違いありません」と起訴事実を認めた。検察側は「司法制度に対する国民の信頼が損ねられた」などと懲役6月を求刑、即日結審した。
初公判の冒頭、下山被告は「宇都宮地裁判事です」とはっきりした口調で職業を答えた。被告人質問では「現職の裁判官が行ったとんでもないケースで、司法に対して国民に不安を与えてしまった。私を育ててくれた裁判所や被害者に対しても、申し訳ないことをした」と反省の言葉を述べた。弁護側は最終弁論で、宇都宮地裁所長らに口頭で辞職の意思を伝えていることを明らかにした。
検察側は、執拗(しつよう)にメールを送った動機について、「女性の交際相手が、彼女がメールの送り主と交際していると誤解させて嫉妬(しっと)させ、別れることを期待した」と指摘。女性が下山被告に相談した際には「『君に怖い思いをさせるなんてとんでもないヤツだな』と犯行と関係ないふりをしていた」と述べた。
一方で下山被告は、被害者の女性と一時期交際していたと明らかにした上で、「新たな交際相手のことを聞き、あまり信頼のおける相手でないと感じた。嫉妬心もあり、(相談に乗ることで)女性と交際を始めた当時の良好な関係になれればと思った」と、背景に嫉妬心や焦りといった屈折した感情を指摘した。
判決は8月8日。現職裁判官が刑事裁判を受けたのは、児童買春事件で平成13年に有罪判決を受けた元東京高裁判事以来。
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