2008年07月25日(金) 17時27分
野茂引退、米国の報道は?(下)〜トルネードを永遠に(オーマイニュース)
調べてみると、野茂投手の引退宣言は、日本人が思っているほど、アメリカ全土隅々までには正確には伝わっていない。
野茂投手の偉業を、全米で、さらに広く、強く思い出してもらうには、野茂投手のアメリカ野球殿堂入りが絶対に必要だ。
ロサンゼルス在住の日本男性(30代)に、メールで聞いた話はこうだった。
■強いチームと競技に話題は流れていく…
———ロサンゼルスには、野球球団のドジャースがあります。野茂投手の引退宣言は、ご存知ですか? ロサンゼルスでは、そのニュースは、大きく流れましたか?
大きくあつかったのは、日本の新聞だけです。コチラのロサンゼルスでも、特に大きな話題とまでは、なってないと思います。
———野茂投手の引退報道は、ロサンゼルスタイムズでは、ブログとの連携など多少は工夫して掲載していましたね?
熱心なコアな野球ファンと日本人以外からは忘れられつつある存在だと、個人的には思います。
———20代前半や10代のアメリカ人の中には、野茂さんを知らない人も多いですか?
まあ、そう だと思います。野茂さんが、大活躍した1996年ごろのドジャースは、強かった。日本にとって、偉大な功績でした。
ただ、今年は(バスケットチームの)ロサンゼルス・レイカーズの調子が良かったので、ロサンゼルスでは野球の話題よりも、バスケの話題が多かったです。基本的にみな、強いものを応援するので。
———日本だと、弱くても、成績が低迷していても、応援する熱心なファンがいますが。
コアな野球ファンはこちらもそうですが、強いチームの話題や、強いチームの競技へと流れて行く人も多いです。
(以上、ロサンゼルス在住の日本人男性の話)
日米の微妙な報道の違いはあるが、野茂投手は、日米通算で20年近く輝き続けた。そして現在、80歳代の高齢となったラソーダ元監督が、野茂選手のアメリカ野球殿堂入りのために奔走している。
今は亡き近鉄の仰木彬監督とラソーダ元監督の2人は、本当の個性を見抜く力だけではなく、選手の引退後まで考える、指導者としての優しさがある。
■アメリカンドリームの表と裏
ロサンゼルスに住む、20代の日本人女性に、メールで話を聞いた。この女性は写真の仕事で生計を立てている。
———アメリカンドリームという言葉とは逆に、 アメリカが人種差別などで夢をつぶすこともあります。あなたは辛いことや仕事上での挫折を、どう乗り越えていますか?
アメリカ人は大変前向きでさっぱりした考え方をしています。夢を持ちたい人はもてるし、 夢を追うのに疲れた人は母国に帰ったらいいのでは?
———挫折する人を誰かが助けますか?
アメリカで挫折したら、もちろん、ロサンゼルスの日本人同士はかなり助け合います。
皆がアメリカに来たときは、誰かに無償で助けてもらった記憶があります。だから自分が成功したら、他の人を助けるのはあたりまえです。
———アメリカでは、ビジネスでは裏切りや解雇が多いと聞きますが、それは、どう考えたらよいでしょうか?
まあ、多いみたいですね。かなり情がないみたいなことを聞きます
———写真家の世界にもありますか?
そうですね、やはり競争社会です。私はフリーの仕事です。基本的にマイノリティのお客さんが主体です白人を相手に売り上げを伸ばし始めたら、きっと横槍がくるかもしれません。私は、ヒスパニックや、アジア人、ラテン系のお客さんが多いです。
———ロサンゼルスで人種差別はありますか?
もちろんです。でも、アメリカの他の地域に比べたら、マシでしょう。
(以上、写真家の話)
アメリカには、本物の忍耐力がある個性を認める面と、個人の小さなプライドを粉々にして、夢を砕いてしまう面と両方がある。
異国で頑張っている日本人の目標のためにも、功労者の野茂投手のアメリカ野球殿堂入りは実現して欲しい。80代のラソーダ元監督が野茂のために奔走している。それも、アメリカのもう1つの顔だ。野茂投手の名前と偉業が、50年先のアメリカでも風化しないことを希望する。
(記者:谷口 滝也)
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