2008年07月24日(木) 02時02分
<岩手県沿岸地震>突き上げる激震 被害は…不安な一夜(毎日新聞)
岩手・宮城内陸地震から2カ月もたたないうちに東北地方をまた、震度6強の激しい揺れが襲った。岩手県では、6月14日の地震で一関市や奥州市などが大きな被害を受けたばかり。その復興もできていないうちに深夜を襲った激しい揺れに、住民は不安な夜を過ごした。
震度6強を観測した岩手県洋野町で農業を営む男性(56)は「地震が起きた時は8人家族の全員が寝ていた。小さく揺れ始めたと思ったら、経験をしたことないほどの大きく横に揺れだした。家族全員が無事だったのでよかった」と話した。男性は地区の消防団の班長も務めているが、今のところ出動の要請はないという。また、避難を指示するような防災無線なども流れておらず、電気もついているという。
町内のタクシー会社に勤める山本善吉さん(66)は自宅で寝ていて、突き上げるような揺れに飛び起きた。「立ち上がったが、激しい揺れに立っていられず、すぐにしゃがみこんだ」。台所の食器棚から茶碗や皿が落ち、割れて床に散乱した。
洋野町役場では、庁舎(4階建て)の4階会議室の天井にひびが入ったり、2階の窓ガラスにひびが入るなどの被害が出た。町企画課の信田公男課長(56)は自宅で寝ていた際、突然大きな横揺れを感じたという。自家用車で役場に駆けつけた際、町道沿いの平屋の空き家の窓ガラスが割れて路上に散乱しているのを目撃した。
信田課長は「10秒か15秒程度で、そんなに長い揺れではなかった。十勝沖地震の方が大きかった」と落ち着いた様子で語った。ただ、役場内の電話は鳴り止まず、職員も被害情報の収集に追われた。
洋野町種市の特別養護老人ホーム「うなばら荘」では、室内のテレビやパソコンが台から落ち、エレベーターが止まった。入所している約80人のお年寄りにけがはなかった。介護福祉士の野田光枝さん(31)は「自宅で就寝中、下からドーンと突き上げるような揺れが来た。その後横揺れが続き、施設に駆けつけた。取りあえずけが人はいないようだが、ボイラー室に異常があるようで、職員が今確認に行っている」と不安そうに話した。
久慈消防本部種市分署の長岡将貴さん(33)は当直勤務中だった。「激しく揺れた時間は10秒くらい。机のコップや書類が床に散らばった」という。揺れから15分ほど経過したが、けが人などのの情報は入っていないという。町内の種市病院の当直担当者は「地震から約30分たったが、けが人などの情報は今のところない」と答えた。
震度6弱を観測した青森県八戸市の居酒屋チェーン店の男性店員によると、大きな揺れが約3分間ほど続き、店内のグラスや皿などが棚から落ちるなどした。市職員は「横揺れが1分間ほど続き、次第に大きくなり、縦揺もあった、被害確認を急いでいる」と話した。
震度4を観測した岩手県雫石町の男性(69)は「岩手・宮城内陸地震よりも強い横揺れで、驚いた。しかも揺れている時間が長かった」と話した。たんすなどの家財道具は倒れていないというが、「家の柱がひび割れたような大きな音が聞こえた。夜が明けてから被害が出たりしていなければいいが」と不安そうな様子だった。
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