岩手・宮城内陸地震から一カ月余り。震災の傷跡が癒えない東北地方を再び、震度6強の激しい揺れが襲った。二十四日未明に起きた岩手県沿岸北部を震源とする大地震。「建物の所々にひびが入っている」「商店でガラスが落ちているところも」。役場の職員から、緊迫した情報が次々に寄せられる。被害はどこまで広がるのか。暗闇の中、住民は恐怖におののいた。
二十四日未明に、震度6強を観測した地震で、岩手県洋野町の住民は「こんな揺れは生まれて初めて」と話した。町役場には職員が登庁。教育委員会職員は「建物の所々にひびが入っていて、一部壁がはがれている」と被害の様子を生々しく語った。
別の同町職員も「役場に来る途中に商店でガラスが落ちているところがある」と話し、岩手県久慈消防署で当直していた男性(32)は「揺れは二十秒ぐらい続いた。書類が棚から落ちた」と証言。近隣各地の自治体職員も情報収集に追われた。
洋野町の会社員
同町でスナックを経営する女性(47)は、帰宅時に地震に襲われ「揺れが長く、さらに強い揺れが来るんじゃないかと怖かった」と困惑した様子。店に戻ると、棚から酒のボトルが何本か落ち、壁にヒビが入っていたといい、後片付けに追われた。
盛岡市内の男性(25)は「マンション二階の自室でソファでテレビを見ていた。最初は縦の揺れを感じ、その後ガタガタと小刻みの揺れが長く続いた。棚に並べた瓶が落ちそうに動いた」と不安げに語った。
また盛岡市のローソン盛岡大通店の男性店員(23)は「このあいだの地震よりは弱く感じたが、けっこう強かった。棚から商品が落ちた程度で物が壊れたりはしていない」と話した。
▽強い横揺れ、棚から書類 岩手県九戸村
震度5弱を観測した岩手県九戸村では、村役場当直の男性職員(52)が「一階の寝室で起きていたが、いきなり横揺れが三十秒くらい続いた。かなり強かった」と話した。庁内で大きな被害はないという。
一方、岩手県久慈市長内町のファミリーレストラン「ガスト久慈店」の厨房で片付けをしていたアルバイト西村清さん(28)は「ドーンと音がして十秒くらい強く揺れ、その後も一分くらい余震が続いて怖かった」。すぐにガスを切ってお客さんの方に向かい、客二組のうち一組は食事の途中だったが、すぐ帰ったという。
西村さんは「店は厨房の調味料のケースが少し落ちたくらいで大きな被害はなかったのでほっとしている」と話した。
▽懐中電灯や電池求める住民 青森県八戸市
青森県八戸市内のコンビニ店長は「いきなりドカーンと揺れがきて三十秒以上続いた。商品が落ちないよう棚を押さえたが、全部落ちてきた」と恐怖をあらわにした。
ライフラインは止まっていないが「懐中電灯や電池を買いに来る人、公衆電話を探しに来た人がいる」という。
市内のCDショップ店員(29)は「最初細かい揺れが来て、どんどん大きくなってきたと思ったら電気が落ちて真っ暗になった」と話した。