2008年07月22日(火) 19時58分
高齢者特有の副作用に要注意!(オーマイニュース)
薬局で処方される薬は、誰が飲んでも効き目が同じかといえばそうではありません。
固体差といわれるもので、年齢や体重、体調や食事などによっても違ってきます。専門的には、薬の吸収と代謝・排泄のバランスにより、強く効いたり効かなかったりします。このため、一般的には多くの人にとって副作用が少ないであろう量を処方しています。
その薬が、高齢者にとって思いがけない副作用を生む危険性を内包しています。
■高齢者にとって恐ろしい薬の副作用
高齢者の方で、薬を飲んだ後めまいや嘔吐などを感じたことのある人はいませんか。目から星が出て、立っていられず、おもわず柱に寄りかかったという経験をお持ちの方がいるかもしれません。
加齢と共に体重が減り、身長も低くなってくるのは自然の成り行きですが、それと同時に各臓器も何らかの機能低下があるものと考えるべきです。
・抗不安剤や睡眠薬を飲んだ後、ふらふらして転びそうになった人はいませんか。まかり間違えば、転倒して骨折しかねません。いや、現実にあるのです。また、抗コリン作用(抗精神薬や抗欝薬などの服用に伴う便秘や口の渇きなどの副作用)も要注意です。
・抗ヒスタミンや抗アレルギー薬で、尿がでにくくなり、何度もトイレに行くはめに陥っている人はいませんか。頻繁な夜中のトイレは、睡眠の妨げになり寝不足や倦怠感を引き起こします。
・鎮痛剤(例えばベンタゾシン)では、錯乱や幻覚などの副作用に襲われることもあります。
どうしてかと言えば、前述したように吸収・代謝がうまくゆかず、血液中の薬の濃度(血中薬物濃度)がいつまでも高い濃度で維持されてしまい、副作用として各種の症状が現れてくるのです。
■これらの薬は要注意
高齢者が注意すべき薬は、たとえば以下のようなものです。
1)高コレステロール血症(ローコール錠) ノバルティスファーマ
2)インスリン抵抗性改善剤(アクトス錠) タケダ
3)経口血糖降下剤(メルビン錠) 大日本住友
4)急性循環不全改善剤(塩酸ドパミン注) 持田
5)抗ウイルス化学療法剤(コンビビル錠) グラクソ・スミスクライン
薬には必ず効能効果や薬理作用、用法容量、副作用などが記載された添付文書(パッケージインサート)がついています。この情報を参考に医師が処方しています。
その添付文書を読むと「高齢者への投与は慎重に」といった薬が最近増えています。
ちなみに、経口血糖降下剤「メルビン錠」の添付文書における使用上の注意にはこう記載されています。
「一般に高齢者では腎・肝機能等が低下している。腎機能低下による本剤の排泄の減少、肝機能低下による乳酸の代謝能の低下が乳酸アシドーシスをあらわれやすくすることがあるので、高齢者には投与しないこと」
上記に挙げた薬のいずれにも同様な記載がなされています。小児や妊産婦への投与と同じように高齢者への処方も細心の注意が必要と製薬会社が警告しているわけです。
■シロウト判断は危険
全ての医師がこの情報を正確にインプットしているかといえば、はなはだ疑問です。
治療中に新しい薬が追加されたりした時、薬の相互作用(薬の飲み合わせによって起こる副作用)とは別に処方された薬の副作用である可能性があります。そんな時には、遠慮なく医師に相談することをお勧めします。
高齢者特有の薬による副作用は、思わぬ大怪我や症状が現れる可能性が大です。
「おかしいな」と思ったら主治医に遠慮なく相談しましょう! 素人判断は危険です。
【記者注】ウェブ上で医療用医薬品(処方薬)の一部添付文書を検索できます。ただし、これら添付文書は本来、医療機関の医師や薬剤師など向けに作成されたもので患者向けではありません。
(記者:宮本 聰)
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