記事登録
2008年07月22日(火) 13時25分

じつはステロイド含有、NOATOクリーム販売中止にオーマイニュース

 東京都は7月16日、株式会社ラバンナが製造販売する「NOATOクリーム」から、プロピオン酸クロベタゾール(副腎皮質ホルモン)が検出されたため、薬事法違反であり、健康被害が出る恐れがあるとして、商品の製造販売禁止と商品回収の指示を出しました。

 外用ステロイドホルモン製剤は、その作用から弱から最強までの5段階の作用で区分けされていますが「NOATOクリーム」から検出されたのは、最強分類のプロピオン酸クロベタゾールです。

 一般的に、顔などの皮膚の薄い部分は薬剤の吸収性が高いため、最強のステロイド外用薬が処方されることはありません。しかし同クリームは化粧品として販売されていたため、購入者の多くは顔面への使用が中心であったと考えられます。

 今回、効果のあまりの高さに「ステロイド不使用」に疑問を持った購入者が国民生活センターに相談したことから薬事法違反が発覚しました。

 発売から4カ月あまりで、販売数は5691個。輸入数量は4万個でしたので、ここで発覚しなければ、さらに被害が拡大していたことでしょう。

 化粧品のクチコミサイト、@cosme(アットコスメ)では、7月18日現在、商品情報からは検索できませんが、クチコミから検索できます。

 アトピーに悩んでいる人が、「ステロイド不使用なのに効果がある」と商品に惹かれ購入し、じつはステロイド入りと知ってショックを受けているクチコミを読むことが出来ます。

 副作用などからステロイド外用薬に拒否感を持つ人たちが、「ステロイド不使用で効果が高い」とされる商品を選択する気持ちは、子どものころからアトピー持ちの私には理解できます。

 ステロイド外用薬は確かに効果が高い半面、対処療法で皮膚の炎症を押さえ込むため、より強いステロイドに移行したり、急に止めた場合にリバウンドと呼ばれる増悪化を招くなど、適切な使用のコントロールが難しい面があります。

 できれば、副作用のあるステロイドを使わずにアトピーを治したい、というのは多くのアトピー患者の願いでもあるでしょう。

 そういった消費者の不安な部分をつき、高額な商品を購入させるアトピービジネスは後を絶ちません。

 消費者保護を考えたとき、国民生活センターに入った相談から調査を行い、1カ月弱の短期間で販売禁止に出来た背景から、消費者の情報提供と、行政側の早い対応が大事であることを実感します。

(記者:林 美幸)

【参照】
東京都のプレスリリース
アトピー・ステロイド情報センター

【関連記事】
林 美幸さんの他の記事を読む
【関連キーワード】
アトピー

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080722-00000004-omn-soci