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2008年07月19日(土) 00時00分

六会製生コン 監査3度すり抜け読売新聞

関係書類改ざんか 業界対応不十分の声
六会コンクリートの納入先で起きたポップアウト現象(同社提供)

 藤沢市の生コン業者「六会コンクリート」が日本工業規格(JIS)で認められていない骨材「溶融スラグ」を生コンに混入していた問題で、同社がこの生コンの出荷を始めた2007年7月以降、県内の生コン業界が実施した計3回の品質監査をすり抜けていたことが、分かった。溶融スラグ使用を隠し、関係書類を改ざんしていた疑いが強い。業者側が提出する配合表をうのみにした業界監査の不十分さを指摘する声も上がっている。

 監査は、六会コンクリートなど68工場が加盟する「県生コンクリート工業組合」(飯田康勝理事長)などが実施。昨夏と昨秋、今年初めの計3回にわたり、藤沢市にある同社の本社工場に担当職員が立ち入りし、生コンに含まれる空気量や軟らかさや強度などを調べる監査を実施した。

 このうち、昨夏の監査は、総合監査として、生コンにどのような骨材が含まれているかを記す「配合表」などを念入りに調査した。

 同組合によると、一連の監査では、コンクリートの表面がはがれる「ポップアウト」現象を引き起こす溶融スラグを混入しているとの記載はなく、配合表にはJISに適合した骨材を使用しているとする虚偽の記載がされていたという。この結果、同社には、基準に適合していることを証明する合格証が交付された。

 だが、通常、総合監査の場合は1か月前に業者側に通告、他の2回も前日の夕方までには連絡される。このため、同社が監査日に合わせて、虚偽の配合表を作ったり、溶融スラグの混入を止めたりして、監査をすり抜けていた疑いがある。

 同社は読売新聞の取材に「(小金井弘昭)社長はどこにいるのか分からず、答えられない」としている。

 今回の問題について、学識者や行政、業界関係者らで構成する「県生コンクリート品質管理監査会議」の議長を務める池田尚治・横浜国大名誉教授は「現状の監査では業者から渡された配合表を確認するだけで、溶融スラグなどが入っているかは見抜けない。他県でも同様の監査方法を取っており、全国的な見直しが必要になる」としている。

◆国交省が対策委

国交省が対策委 国土交通省は18日、コンクリートの専門家らでつくる対策技術検討委員会の初会合を開き、溶融スラグ混入問題の対応を協議した。

 この結果、ポップアウトが起きたコンクリートをくりぬいて調べるコア抜き検査で成分の詳細を確認するほか、実際に溶融スラグを混ぜたサンプルを使って、表面のはく離がどの程度の期間、起こりうるのか調査することを決めた。

 委員長を務める桝田佳寛・宇都宮大教授は会合後、「過去の文献によれば(ポップアウトは)3年程度で一応収束するが、10年後ぐらいに出るものもある」と述べ、2か月後をめどに、安全確保策をとりまとめる考えを示した。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kanagawa/news/20080719-OYT8T00121.htm