2008年07月18日(金) 13時30分
貧国アイルランドが大躍進を遂げた理由は?(R25)
アイルランドといえば何を思い浮かべる? アイリッシュダンスにギネスビール、場所は…どこだっけ? 正直あまりなじみがない。
しかし、人口ひとり当たりのGDP(名目国内総生産)を見ると、EU内で第2位、世界でも第4位だそう。アイルランドは人口約400万人の小国。つまり、総額としてはそれほどではないが、ひとり当たりで考えるととても豊かな国なのだ。
かつては貧国として有名で、19世紀には主食のジャガイモが不作となり、「国内では生きていけない」と海外へ逃亡する国民が多かった。人口が半分に減ったという話もあるほどだ。そんな国にもかかわらず、大躍進した理由はどこにあるのだろう?
「アイルランドは現在、アメリカ企業のEU向けの輸出・製造の拠点が置かれ、両者の架け橋となっています。なぜ外資企業が集まるかというと、国民のほぼ全員が英語をしゃべれること、教育水準が高いこと、そして法人税をEU諸国内で最も安くするといった外資優遇政策をとっているからです。アイルランドは貧国だったため、国内産業が育たず、外資を受け入れることが成長の近道でした。内資企業との利害調整などの障壁もないため、このような政策がとれたのです」(中央大学・田中素香教授)
アイルランドの人口は福岡県くらい。小国ゆえ、小回りが利き、大胆な政策もとれ、まとまりやすいそう。勤勉で優秀な人材が多く、賃金が安いことも成長の一因だ。
「役人も優秀です。EUからの援助金をインフラ整備や外資誘致のために効率的に使っている。大学を含めて教育費も無料です。今は住宅市場に陰りが出始め、やや苦しいですが、政府・労組・資本家の協調体制で切り抜けられるでしょう」(同)
現在はDELLやIBMなどIT産業を中心に1000以上の企業が進出。世界に散らばったアイルランド移民も、豊かになった母国に戻りつつあるという。
小さくてもマイナーでも、豊かな国になれるものなんですね。
(R25編集部)
※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです
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