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2008年07月18日(金) 22時18分

裁判員制度 「論告は点字で配って」視聴覚障害者が要望毎日新聞

 目や耳の不自由な人が裁判員として参加する模擬裁判が17〜18日、東京地裁で実施された。視聴覚障害者から「(点字などで)文字化できる物は配ってほしかった」との声が上がるなど、来年5月の制度導入に向けた課題が改めて浮かんだ。

 身体障害者が裁判員に選ばれた際、視覚障害者向けに選任手続きの書類を点字化するなど、最高裁は一定の対応を取ることを決めている。ただ、法廷の審理は口頭でのやり取りを前提とするため、証拠書類などは点字化せず口頭で補足する方針。

 今回、全盲の会社員の女性(39)が参加した模擬裁判でも、論告や最終弁論などの書類は点字化されなかった。女性は報道陣に「(点字などで)文書化が可能な物は無理のない範囲で配るか、文字情報を個別に読み上げるようなシステムがあれば、安心して参加できる」と訴えた。

 また、ろう者(聴覚障害者)の女性(42)が参加した別の法廷では、証人が話し終わらないうちに弁護人が質問を重ねるケースなどがあったことから、手話通訳者の女性(47)が「話者が代わる時には、区切りを入れてほしかった」と注文をつけた。

 裁判員法は「裁判員の職務の遂行に著しい支障がある者」について裁判員になれないと規定しており、最高裁によると、図面や証拠の録音テープを見聞きすることが事実認定の上で不可欠な事件では、障害者が選任されないケースもあり得るという。【武本光政】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080718-00000025-maip-soci