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2008年07月18日(金) 02時30分

<国選弁護>報酬を増額…裁判員制度で負担配慮 法務省方針毎日新聞

 法務省は、刑事裁判の国選弁護人に対し、現在の報酬を1万円前後増額して支給する方針を固めた。近く総合法律支援法に基づき報酬を支払っている日本司法支援センター(法テラス)に通知し、9月1日から施行する。来年5月21日から裁判員制度が始まれば弁護士の負担も格段に重くなることから、報酬額に対する弁護士会の不満を解消し、国選弁護の充実を図る。

 国選弁護制度は、弁護士を独自に頼めない被告のために1947年に開始。現在の報酬の基礎額は、公判前整理手続きがなく1回の公判で終了した場合、単独事件で7万円、裁判員制度の対象となる重大事件で9万円。着手金だけで数十万円とされる私選弁護人との格差が大きく、避ける弁護士が多かった。引き上げ後は、公判前整理手続きがない場合は基礎額を対象事件によって7000〜9000円上積みする。同手続きが採用された場合は公判回数や審理時間に応じて増額する。

 国選弁護人については、接見回数が少なく、記録を詳細に読み込まない人がいるとの指摘もあり、富山県警に強姦(ごうかん)容疑などで逮捕され、服役後に再審無罪が確定した男性の冤罪(えんざい)事件では、日弁連が「意思疎通が不十分なまま有罪を前提に弁護活動した」と調査報告書をまとめた。

 報酬の支払いは06年に裁判所から法テラスに移行し、労力に比例した報酬基準を取り入れた。日本弁護士連合会は報酬が下がったとして増額を要望しており、法務省が受け入れる形だ。

 国選弁護を引き受ける契約を法テラスと結んでいる弁護士は今年4月1日現在で約1万3400人。

【石川淳一】

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