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2008年07月17日(木) 00時33分

バスジャック少年、ナイフ突きつけ「携帯出せ」読売新聞

 「携帯電話を出せ」「スピードを上げろ」−−。

 愛知県岡崎市の東名高速道路で16日午後に発生したバスジャック事件。監禁容疑などで現行犯逮捕された山口県宇部市の中学2年の少年(14)は、運転手の首にナイフを突きつけながら指示を出し、乗客から携帯電話を取り上げるなど、高速バスを一時的に支配した。バス会社からはバスへの連絡もできなくなり、車内は恐怖に包まれた。

 「ナイフを持った客が運転席の後ろにいる。110番してくれ」。事件の第一報は、高速バスに乗り合わせていたジェイアール東海バスの男性社員(42)からだった。小声でかけてきた社員の連絡に、同社は騒然となった。

 男性社員らによると、バスが名古屋市の名古屋インターチェンジから同高速道路に入った後、2階席から下りてきたとみられる少年が、右手に刃物を持って運転席へ向かって歩いていくのが見えた。バスの2階には逮捕された少年を含め10人、1階には運転手と社員が乗っていた。

 少年は運転手にナイフを向け、「止まるな。走れ」と脅迫。その後、運転手によるアナウンスが車内に流れた。「非常事態が発生した。携帯電話の電源を切り、1階に集まってください」。2階席から下りてきた乗客9人に少年は、「携帯電話を出せ」と命じた後、「全員、座席に座ってシートベルトを締めろ」と指示した。時には、たばこを吸うこともあった。

 この間、警察に通報した同社は社員と連絡を取ろうと電話したが、呼び出し音が鳴るだけだった。

 少年は運転手の携帯電話を使って、自分でも警察に通報。しばらくすると、愛知県警の捜査車両がバスに追いついてきたため、少年は運転手に、「スピードを出せ」「パトカーを追い越せ」と命じた。

 バスは岡崎インターチェンジの約2キロ手前で一時停止した後、県警によって美合(みあい)パーキングエリア(PA)に誘導された。県警の捜査員がバスの出入り口に足をかけながら、「ナイフをおけ」などと少年を説得。少年がナイフを置くと、乗客が車内から解放され、車内に入った捜査員が少年を取り押さえた。発生から約1時間が過ぎていた。

 県警によると、少年は黒いシャツにジーンズ姿、サンダル履きで、黒いサングラスをかけていた。取り乱した様子はなかったという。社員は「少年は興奮した様子はなく、乗客の悲鳴もなかったが、刃物を見た時には恐怖を覚えた」と振り返った。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080717-00000000-yom-soci