2008年07月17日(木) 06時35分
「騒がせたかった」…携帯取り上げ自ら110番 14歳バスジャック(産経新聞)
「ナイフを持った客がいる」。異変が伝わったのは、車内に乗り合わせたJR東海バス社員(42)からの通報がきっかけだった。愛知県で16日、白昼の東名高速道路で起きたバス乗っ取り事件。運転手に刃物を突き付けてから、捜査員の説得に応じ運転手と乗客10人を解放するまで約1時間。中学2年の少年(14)は、自らバスジャックを110番通報、さらに乗客の携帯電話を取り上げるなど冷静に犯行に及んでいた。逮捕の直後には「世間を騒がせたかった」と話した少年は、落ち着いた様子を見せていた。
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愛知県警が事態を把握したのは、JR東海バスを通じて110番通報が入った午後0時53分ごろ。JR名古屋駅を正午に出発した後、停車するはずの豊田市のバス停を通過。おかしいと思った社員の目に、運転手の背後で刃物を持った若い男が映った。携帯電話で会社に連絡した。
男性社員によると、その後、運転手から乗客に「携帯電話の電源を切って、(2階建てバスの)1階に集まってください」と連絡があり、少年が乗客全員の携帯電話を取り上げた。
車内には外部に緊急事態を知らせるシステムが配備されていたが運転手が作動を控えた。運転手は「すぐ後ろにいる犯人を刺激しないようボタンを押さなかった」と解放後に説明した。
黒いサングラスにジーパン姿の少年は、運転手に「スピードを落とすな」と要求する一方、午後1時10分ごろには自ら携帯電話で「バスジャックした」と110番通報した。
そのまま東名高速を東上するバスを、愛知県警の捜査員が岡崎市付近で発見。数台のパトカーで一斉に取り囲み、市内の美合(みあい)パーキングエリアまで追い込んで停車させた。
「まずナイフを置け」。バスの前半分を取り囲むようにした捜査員らの説得を窓越しに聞いていた少年は「取り乱した様子はなかった」(県警幹部)。呼び掛けに応じ少年がナイフ2本を席に置くと同時に、捜査員がバスの中へ。少年は抵抗することもなく身柄を確保され、乗客10人も無事解放された。
その間、上り線は一時通行止めになり、周辺は大混乱に。PAにある売店の店長(53)は「西鉄バス乗っ取り事件(平成12年)を思いだした。けが人がいなかったのが不幸中の幸い」と興奮した様子で話した。
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