雑誌「週刊現代」の記事で名誉を傷つけられたとして、安倍晋三前首相の実兄(56)が記事を執筆したジャーナリスト松田賢弥氏(54)に5000万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、広島地裁は17日、松田氏に200万円の支払いを命じた。謝罪広告の掲載は認めなかった。松田氏側は控訴する方針。
判決理由で橋本良成裁判長は「記事で引用された内容は主要部分で実兄の発言の趣旨から著しく逸脱し、真意と乖離する」と指摘。
「実兄は家族や地元住民らから非難されるなど、相当の精神的苦痛を被っており、発言を紹介したのは不法行為に当たる」と認定した。
さらに、取材結果には編集の自由が認められるとの松田氏側の主張についても「本件で行われたのは創作であって、編集の範囲を超える」と判断した。
判決などによると、松田氏は安倍前首相やその母、一族について実兄に取材。前首相や実兄が弟の岸信夫参院議員の政界進出に反対したなどとする記事を2006年9月、週刊現代に掲載した。