2008年07月17日(木) 11時41分
北京五輪の大気清浄度データはわかりやすいか?(オーマイニュース)
北京オリンピック開幕まで20日余りに迫った。水を差す気はないが、隣国の国民として北京市当局の発表する大気汚染のデータに聊の疑問を禁じえない。
市当局は27カ所について、So2、粉塵、No2の観点から、大気汚染状況をWeb上に公開している。
疑問に思うのは3つのデータに於いて全て50以下が清浄とされる数値そのものである。
SO2、粉塵、NO2いずれも共通の区切りで指数を設けている。
污染物指数 空气质量评价
(API) Air Quality Status
0-50 优 Good
51-100 良 Moderate
101-150 轻微污染 Unhealthy for sensitive groups
151-200 轻度污染 Unhealthy
201-250 中度污染 Very Unhealthy
251-300 中度重污染 Hazardous
301-500 重度污染 Hazardous
このページを見る限り指数の根拠が何処にもない。
7月14日12時から翌15日12時までの各地点の3つ(SO2・粉塵・NO2)のデータは、全て50以下で、清浄となっている。
特に毒性の強いと思われるSO2は、1桁の指数(Good)となっているのだ。
日本では大気汚染を示すデータはSOXがm3N/h、NOXがvolppm、粉塵がg/m3Nでなどの国際的に検証できる単位で規制されている。
北京市当局が一見検証しようのない形の数字を出してくるのは、国際大会の中でも大きな意義をもつオリンピックには相応しくない。
そもそも独自の指数に換算し、その指数の根拠を同一ページに示さない記載の仕方に意図を感じるのは私だけであろうか?
恐らくオリンピックの参加者や国際世論を安心させるために発表しているデータであろうが、素人の私が疑問を持つようなものであれば、その役割を果たしていない。
このデータが示された事により、どれだけの競技者が安心して競技に望めるであろうか? また、どれだけの外国人が安心して北京でのオリンピック観戦や観光を楽しめるだろうか?
さらに、オリンピックは中国にとって国家事業である事から、このようなデータの示し方は国家としても同様のスタンスだろうと推測される。
中華人民共和国が国家として守るべき国民の生命財産に対し、「安心して生活してください」と言う根拠となり得るのだろうか?
中華人民共和国は稀に見るスピードで経済成長を果たし、外交の場でも重要な位置を占める大国となった。
自国だけの物差しで世界世論に物事を問える立場は既に卒業しているはずである。
国際舞台での立場を確立するには、国際的な物差しで物事を見、分析し、主張するべきだと私は考える。
(記者:湯浅 秀昭)
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