2008年07月17日(木) 08時00分
マラソン・野口らに“北京仕様”シューズ 反発性重視、黄砂対策も(産経新聞)
北京五輪で女子マラソン史上初の連覇を狙う野口みずき(シスメックス)ら代表5選手のシューズが16日、アシックスから発表された。製作責任者の三村仁司氏が4月のテスト大会や6月下旬の野口の試走に同行して製作したもので、クッション性と安定性を重視した設計。アテネ五輪時より軽量化し、中国の特有の黄砂やチリがシューズ内に入らないよう対策も施した。日本陸連が目標に掲げる「金1つを含むメダル2個」の期待値筆頭にあがる女子マラソン陣に、本番に向けた“武器”が出来上がった。(金子昌世)
北京のコースは大きな起伏は1カ所だけでほぼ平坦(へいたん)だが、道幅が急に変化するほか、路面が硬く、その硬さも場所によって異なるために脚に負担がかかるのが特徴。このため従来の硬めの3層構造の靴底ではスピードは出やすいが、脚への負担が大きいと判断。疲労を軽減するために「軽くて反発力のある」新開発の2層のスポンジ素材を採用した。さらに着地時の安定性を高めるため、靴底を2〜3ミリ薄くし、大気汚染物質でもあるチリなどの細かいゴミが入らないようアッパーも編み目の細かいメッシュ素材を使用した。
編み目を細かくした分、「通気性はアテネより落ちるが、従来より汗を吸って乾燥しやすい素材を使い、ソフト感とドライ感を出した」と三村氏。また野口の場合、片足で最大13グラムの軽量化を図ったことで「42・195キロでみると、消費カロリーで5%ぐらい節約できる」という。
連覇の期待がかかる野口について、7月初旬に足形や左右の重心バランスなどの測定を行った三村氏は「いままで最高の(脚の)状態」と太鼓判を押した。同様の機能のシューズは野口のほか、土佐礼子(三井住友海上)、中村友梨香(天満屋)、男子の佐藤敦之(中国電力)、大崎悟史(NTT西日本)にも提供される。
◇
■女子マラソン3代表の動向 「(脚の状態は)いままでで最高」と“シューズ職人”の三村氏に絶賛された野口は今月4日から高地合宿先のスイス・サンモリッツに渡り、追い込みをかけている。8月上旬に帰国し、北海道で時差調整後、レース4日前に北京入りの方針。土佐は10日から20日間の予定で中国・昆明合宿に入った。
一時帰国後は、長野県内で最終調整を行う。中村は2カ月間に及ぶ米国(ボルダーとアルバカーキ)合宿中。土佐と中村はレース3日前に北京入りの予定だ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080717-00000101-san-spo