2008年07月16日(水) 17時52分
キャラクターは可愛くなければいけないのか?(ツカサネット新聞)
唐突ながら、「キャラクター」という言葉を「大辞林」でひいてみると、
(1)性格。人格。持ち味。
(2)小説・漫画・映画・演劇などの登場人物。
(3)文字。記号。
とある。
企業などが、キャンペーンなどに用いるイラストや立体イラストによる「キャラクター」は、(2)と(3)の意味合いが折衷されたものであると言えるだろう。
昨今、最も人気を博したと言えるキャラクターと言えば、「ひこにゃん」だろう。ひこにゃんが可愛いと人気を博しているのは非常に頷ける。
そして、昨今最も物議を醸したキャラクターと言えば、「せんとくん」だろう。しかし、せんとくんが批判を浴びた事由のほとんどが、可愛くないことであるように思えることには、個人的には違和感を覚える。
私自身はせんとくんに好意的な立ち位置にいるが、可愛くないか可愛いかで言えば、可愛くないと即答しよう。しかし、仮にも平城京遷都1300周年を祝うマスコットが、記号の集約された、ただ、人に「可愛い」と思わせるだけのキャラクターで良いのだろうか? 私はそうは思わないし、少なくとも、可愛くないから、は、せんとくんを否定する理由には成り得ないのではないか。
例えば、『キン肉マン』という超人気漫画がある。先だって、連載29(ニク)周年ということで、かつて連載していた週刊少年ジャンプ誌に読みきりが掲載されたが、リアルタイムに『キン肉マン』を体験した世代の男性諸氏にとって、一番に頭に浮かぶのが「キン消し」ではないだろうか。
キン消しとは、『キン肉マン』に出てくる超人たちを模した、ゴム人形型消しゴムで、頭身もリアルに作られており、怖いデザインの超人などもいる。しかし、キン肉マンはキャラクターだが、愛嬌のないウォーズマンのキン消しはキャラクターではない、などと言う人はいないだろう。それは詭弁でしかない。
しかしどうも、そのような詭弁がせんとくんの批判に援用されていたように思えてならない。今では見られないようだが、せんとくんの作者の籔内佐斗司氏は、公式サイトにおいて、寄せられた批判のメールに回答し、それを公開されていたのだが、そのメールの多くが、私には籔内氏が答える価値のないものにしか見えなかった。しかし氏は、同じロジックを繰り返すことになろうとも、それぞれに誠実に答えられていた。実に頭の下がる思いだ。
それに、可愛さにしか興味がない人間には、もしかしたら、そもそもが芸術家である籔内氏の仕事の凄さが理解できないのかもしれない。
これは、別に嫌味を言っているわけではなく、自分も含めての話なのだが、このせんとくんのキャラクターのプレゼンに参加していたとある会社の制作社員が「自信があったのだが、せんとくんを見て、負けたことに納得した。あのキャラクターは凄い」と言っていたのを聞いたことがあるのだが、正直、元より審美眼のない人間である私には、そこまで凄いキャラクターであるとは受け取れない。
とはいえ、受け手の趣味嗜好は、キャラクターを考える上で最も大切な要素であることは間違いなく、可愛らしさを一にすることを批判するつもりはない。とはいえ、平城京遷都1300周年を祝うキャラクターにまで、可愛らしさやとっつきらしさを求めるのは、やはり筋違いであるように私には感じられる。
ただ、そうは言っても、東武鉄道が「姫宮なな」という名の女性キャラクターを生み出すような時代だ。
参考URL1:
東武鉄道−イメージキャラクター「姫宮ひめみやなな」の設定(東武鉄道)
参考URL2:
東武鉄道に清楚な萌えキャラ「姫宮なな」登場(ITメディアニュース)
私のような考え方の人間が、少数派なのかもしれない。しかしそれでも、「信州おそばくん」はどうかと思いますよ、長野地検さん。というか、せめて線は綺麗に書いてくださいよ。イラストレーターの使い方分かってます?
参考URL:
長野地方検察庁キャラクター紹介信州おそば くん〔メインキャラクター〕(長野地方検察庁)
(記者:ハセガワ)
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