2008年07月15日(火) 11時55分
広島市と新宿区、どっちが生活保護を受けやすいか?(オーマイニュース)
時事通信社によると、7月7日、東京都内でホームレス生活を送っている横山正美さん(57)が新宿区を相手取り、所持金が数百円しかなく、住む場所もないのに生活保護を支給しないのは違法だとして、申請を却下した処分の取り消しと、月約13万円の支払いを求める訴えを東京地裁に起こした。
この報道によると、路上や公園で寝泊まりしていた横山さんは6月、同区に生活保護を申請したが、「仕事は十分確保できる」と却下された。
このホームレスの生活保護について、広島市健康福祉局健康福祉企画課の林義雄保護担当課長にメールで聞いてみた。
広島市では、ホームレスの支援団体と協力して、実態を把握し、生活保護の必要があると思われる方については、生活保護の申請を勧め、生活保護の要件を満たせば、一般の方と同様に、生活保護を支給する。また、家を借りる費用も基準の範囲内で支給。生活が窮迫した状況にある場合には、申請がなくても必要な保護をするそうだ。
厚生労働省も、ホームレスの生活保護については、「居住地がないことや稼働能力があることのみをもって保護の要件に欠けるものではない」との、通知を出しているそうだ。
こうしたことが新宿区には伝わっていないのだろうか?
生活保護受給者への就職について、広島市の対応は、
「生活が成り立つだけの収入が得られるようになって、生活保護を受ける必要がなくなるということは、現在の社会状況の中では難しいので、就職されたからといって、生活保護が支給されないということではなく、生活保護は、就職されていても、その収入が生活保護の最低生活費を下回る場合には、支給される。ただし支給額は、収入額に応じて減少する。そして就職については、たとえその収入額が生活保護を受ける必要がなくなるものでなくても、就職して規則正しい生活をすることは、本人が生活を建て直していくために役立つものと考えているので、働くことのできる方は就職をするよう指導している」
とのことだ。
この「就職をするよう指導している」というのがどの程度の指導なのか?
生活保護受給者には脅迫と受け取られていないだろうか?
指導ではなく支援することが大事なのではないだろうか?
次に病気で働けない場合について広島市に聞くと、
「生活保護の要件のひとつとして、生活保護法第4条に『保護は生活に困窮する者が、利用しうる資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活を維持するために活用することが要件として行われる。』と規定されています。ですから働くことができて、探せば仕事もあるにもかかわらず、働く気がなく、就職活動もしない人については、この要件を満たさないとされます。病気については、この働くことができるかどうかを判断する材料となります」
とのこと。
新宿区は、このどうとでも受け取れるあいまいな法律を悪用しているのではないだろうか?
ホームレスは栄養失調になっている方も多いだろうし、病気で動けなくなった場合、携帯電話もなくどうやって連絡をとればいいのか広島市に聞くと
「ホームレスが病気等により動けないようになった場合には、一般的にはホームレスを見つけた方から119番通報があります。その後、病院から福祉事務所に連絡があり、生活保護の適用をしています」
とのことだ。これは運よく発見された場合ということになる。
ホームレスや生活保護者に携帯電話があれば、いざという時にも安心だし、就職活動にも役立つだろう。ところが政府はこうした支援をせず、テレビの地上デジタル放送を視聴するために必要な簡易チューナーを生活保護受給者に無料配布するという程度しか発想できない。
余談になったが、少なくとも広島市は新宿区よりは生活保護を受けやすいかもしれない。もしホームレスが困っているようなら広島市に来るようにアドバイスするのもいいだろう。
(記者:昿野 洋一)
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