2008年07月14日(月) 12時00分
日本の「排出権取引制度」は今どの段階にいるのか(R25)
地球温暖化問題一色の洞爺湖サミットも終わり、「ポスト京都議定書」の枠組みに関する主要国の話し合いは大きな峠を越えた。欧州連合(EU)が政策を主導する構図に変わりはなく、中期的な削減目標を出せない日本は他国からの批判の矢面に立たされがちだ。
こうしたなかで、東京都が率先した取り組みを見せている。都は「2020年までに温室効果ガス排出量を2000年比で25%削減する」との目標を掲げ、国に先んじて2010年度からEU並みのキャップ&トレード型の排出権取引制度を導入する。これはあらかじめ排出枠を定め、排出量がその枠を超える場合は他の事業所から排出権を購入するなどして達成を義務づける制度。二酸化炭素の排出削減を義務づけられる事業所は原油換算で年間1500キロリットル以上のエネルギーを消費する事業所で、対象になるところは約1300ある。
一方の国はどうかというと、今年秋にようやく排出権取引制度の本格導入に向けた実証実験を始めるに過ぎない。大口排出源である電力業界、製鉄業界の反発が強く、欧州や東京都のような排出枠を国が定める形の制度になる可能性は低い。「実効性のある具体的な対策を示せない国に代わって、東京が先駆的な施策を提起する」というのが石原慎太郎都知事の方針で、まさに東京都は国を1歩も2歩もリードしているといえるだろう。
とはいえ、日本全体のCO2排出量に占める東京都の比率はわずか1.6%(2006年度実績)。都の取り組みが他の自治体にも広がり、最後には国を動かすことができるかどうかが、日本全体のCO2排出量削減を進めるための1つのカギである。
もっとも、あなたが働くオフィスビルが削減義務の対象外であったとしても、一人ひとりの節電への取り組みが温室効果ガスの削減につながることに変わりはない。誰もいないのに煌々と灯りがついているフロア、ありませんか?
(R25編集部)
※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです
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