2008年07月12日(土) 00時17分
<皇太子さま>スペイン公式訪問を前に会見(2)(毎日新聞)
今回のサラゴサ博覧会は、3年前に自然の叡智(えいち)をテーマとして、わが国で開催された愛・地球博によって示された新しい国際博覧会の理念を継承して、「水と持続可能な開発」をテーマに開催されています。日本も、「水と共生する日本人−−知恵と技」をテーマに古くから水を大事にしてきた日本人の生活と文化を紹介する日本館を設けて参加しています。私も日本館やスペイン館などいくつかのパビリオンを訪れる予定ですが、人類や地球の未来にかかわる、あらゆる課題の根底に横たわる水問題について、各館がどのような工夫をしながらメッセージを発しようとしているのか、見ることを楽しみにしています。
また、今回の万博では各参加国による展示、行事等とは別に、水についてシンポジウム形式で、議論を行う水の論壇が開催されます。私も7月21日のジャパン・デーに開催されるシンポジウムで講演を行う機会を与えていただき、ありがたく思っております。今回の講演では、昨年の12月の第1回アジア・太平洋水サミットでの講演に引き続き、人と水を基本テーマに、特に日本において、人々が水の脅威から自分たちの暮らしを守る一方で、水を利用するために、努力や工夫を続けてきた歴史について、お話ししたいと考えています。
先人の知恵や工夫には今なお、私たちが学ぶべき点が多くあると思いますし、地域地域で先人たちが培ってきた経験は今後、人類が国境を超えて持続可能な発展を遂げていく上でも役に立ち、大切なものであると考えます。そうした思いを少しでもお伝えすることができればと思っています。
私も国連「水と衛生に関する諮問委員会」の名誉総裁として、今回のスペイン訪問の経験も踏まえて、世界の水と衛生の問題についてさらに理解を深める努力を続けていきたいと考えています。これまで水や水管理に関係のあるいくつかの施設や場所の視察を行いましたが、日本の知恵や技術が世界の人々の役に立つことを願っています。そして私自身、世界の水と衛生の問題の解決に向けて、少しでもお役に立てるよう、名誉総裁の立場で考えていきたいと思います。最後になりますが、今回の私のスペインへの訪問が、スペインと日本の相互理解と友好関係の増進に少しでもお役に立てればと思っております。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080712-00000003-mai-soci