2008年07月11日(金) 11時02分
七夕ライトダウン、東京の夜はこうなった(オーマイニュース)
明かりを消してCO2削減を目指すとともに、環境について考える「七夕ライトダウン」が洞爺湖サミットの初日、7月7日の午後8時から午後10時の間に実施された。
七夕ライトダウンが行われる東京の夜景を高いところから、見下ろしてみたい。そう思っていた記者は、7日の夜、地上45階、高さ202メートルの東京都庁の展望室へ登ることにした。この日は、午後8時ジャストに東京タワーの明かりが消える。都庁の展望室ならば、それも見られるはずだ。
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今までになく都庁の手荷物検査は厳しかった。1階の入り口では、空港のように、手荷物はトレーにのせてチェックされ、金属探知機のゲートを通るなど厳重だった。都庁駐車場でも、1台ごとにトランクを開けさせ、検問がされている。新宿警察署による都庁を含む西新宿地区の特別巡回も強化されていた。
45階展望室の東京タワーの見える場所には、すでに何人かの人が場所取りをして写真を撮っていた。
「東京タワーの消える瞬間をどこで見ようかと考えたすえに、ここにきました」という20代の女性は、携帯電話のカメラで、オレンジ色に輝く東京タワーの写真を何枚も撮っていた。記者と同じことを考えている人は、わりといるようだった。
東京都の環境局から「午後8時は、エコウェーブの一斉行動日として、10分間の一斉消灯をするので、勤務で事務室に残っている方も協力してください」という庁舎内放送が入った。エコウェーブとは八都県市の選定地区で行われる明かりを「けす(一斉消灯)・かえる(電球形蛍光灯への交換)・えらぶ(再生可能エネルギーの普及)」取組だという。
このように洞爺湖サミット初日の夜は、いろいろな形や名前で、環境に対するイベントが全国で行われたようだ。
午後8時が近づくと、東京タワーの見える場所は、人だかりができた。どこからともなくカウントダウンを声にする人が現れ、周りの人たちも耳をそばだてた。
「3、2、1、0……」
東京タワーは消えた。でも…… それだけだった。
前出の20代の女性は、
「数分前に、周りにたくさん見えるビルの、赤いランプ(航空障害灯 こうくうしょうがいとう)の点滅が早くなってきて、これはビルからの一斉行動のメッセージなのだと思い、感動して涙が出そうになったけど、東京タワーの明かりだけしか消えなくて残念。ほかのビルのライトも一斉に消えると思っていたんですよね」
と言っていた。
記者もまったく同じ気持ちだった。東京中の航空障害灯の点滅がまるで呼応しあっているように瞬いて見えて、なんだかすてきな物語の始まりのように感じていた。けれど、午後8時に消えたのは東京タワーの明かりだけで、目に見える変化はほかに感じられなかった。
「煌々(こうこう)としてるじゃん」
「まったく変わらない。明るいよね」
来場者たちの感想である。
■新宿の夜の街明かり
ならば、地上から、ライトダウン後の街の変化を探ってみよう。そう思い、記者は、都庁のある新宿の街を歩いてみた。すると、少しだけいつもの夜と景色が違った。いつもライティングされているビルは暗く、ネオンサイトも消えていて薄暗かった。
新宿駅周辺の「新宿テラスシティ スターリーライト 2008」の天の川のイルミネーションも消えていた。消えてから初めてキャプションを読んで知ったことは、このイベント照明電力が、風力によるグリーン電力で点灯されていたといこうことだ。この日、新宿テラスでは「一億人のグリーンパワーナイト」が行われていたそうだ。
七夕ライトダウンの実施された2時間、都庁を中心とした新宿の街を歩きまわり、いろいろな発見をした。自分自身で見て、聞いて、感じることはただ考えることよりも大切だと気づく。いいと思えることを形骸(けいがい)化させないためには、物事の本質を見極めるための努力が必要かもしれない、ということもあらためて思った夜だった。
(記者:大鳥 かな子)
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