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2008年07月08日(火) 12時39分

「MAD動画削除」に集まるユーザーの関心オーマイニュース

 動画コミュニケーションサイト「ニコニコ動画」を展開するニワンゴとドワンゴは7月4日、新バージョン「ニコニコ動画(夏)」を発表。東京都文京区のJCBホールで行われた発表会「ニコニコ大会議」には一般ユーザー2000人が招待された。

■ユーザー最大の関心は「MAD動画削除」

 ドワンゴは2日、権利者団体の著作権を侵害するコンテンツを「ニコニコ動画」上から削除すると発表した。削除対象となるコンテンツの中には、ユーザーがオリジナルコンテンツを元に新しい作品を作る、いわゆる「MAD(マッド)動画」も含まれる。

 ニコニコ動画にはこれまでさまざまなMAD動画が投稿され、ユーザーの支持を集めていたこともあり、発表会ではユーザーや報道関係者からMAD動画削除についての質問が相次ぐなど、同騒動がいかに注目されているかがわかる。

 小林宏氏は「(MAD削除は)現時点での『妥協点』。しかし、MADは日本の新しい文化。MADは権利者にとって大いにプラスになる。権利者にMAD文化を認めていただけるためにはユーザーの声が必要」と一礼、指示を仰いだ。

 西村博之氏は、「(問題の動画を)消せと言われた以上、消すしかない。ただ、MADが消されることは、そんなに問題ではないと思っている。ニコニ・コモンズで提供する素材を使って、権利的にもクリアになった方がいいのでは」と話した。アニメの手描き作品については、杉本誠司氏が「権利者と話し合いながら決めていきたい。一律にすべてどうするという話にはならない」と応えた。

 素材を利用した動画には「コモンズ素材」と表示される。また、コンテンツ提供者はライセンス範囲を設定することで、ニコニコ動画以外にも素材提供が可能になる。

■「残念」と口を揃えるユーザー

 MAD削除について「ニコニコ大会議」の参加者に話を聞くと一様に「残念」と口をそろえた。

 「来るべく日が来た、という感じ。課金制でもいいからアニメコンテンツの配信を継続させてほしい」(21歳、男性)

 「アニメやMADが無くなるとニコニコ動画には何も残らない」(18歳、男性)

 「MADは作品の宣伝効果もあったのに残念」(21歳、男性)

 「MADで知ったアニメのDVDやキャラクターグッズを買ったことがある。アニメ作品を知るきっかけが消えてしまうのは残念。MADは(感想を共有できる)ニコニコ動画で見ないと意味がない」(22歳、女性)

 また、ドワンゴの広報は「今回の削除で、アクセス数が下がるという認識はしていない。権利者さまに対してもユーザーさまに対してもきちんとしたアプローチをしている。これからいろいろなサービスを投入していく予定で、そういったところでユーザーの皆さまを呼び込みたい」とほかの動画サイトにはない、独自の「魅力」でユーザー流出を止めたい考えだ。

(記者:山本 宏樹)

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