2008年07月08日(火) 15時54分
「丸明」強制捜査 雷鳴、偽装に鉄槌 社会影響を重視、摘発強化(産経新聞)
飛騨牛偽装問題で、8日朝、岐阜県養老町の食肉卸販売業「丸明(まるあき)」の本社など関係先十数カ所に一斉に捜査のメスが入った。雷が鳴り響く中、次々と捜索に入る岐阜県警の捜査員。県警が強制捜査に乗り出した背景には、食品の不当表示が急増する中、とりわけ品質や消費期限を偽る不正が消費者に与える影響を重視した取り締まり強化の流れがある。
岐阜県養老町の丸明本社では午前9時前、土砂降りの雨の下、早朝から詰め掛けた報道陣約30人が待ち構える中にワゴン車など7台が到着。「警察」と書かれたオレンジ色の腕章を身に着け、段ボールの束を両手で抱えた捜査員ら約20人が一斉に、ずぶぬれになりながら従業員通用口から中に入っていった。
捜査員到着後、広報担当の男性役員が慌ただしく出入りしたが、報道陣の問い掛けには硬い表情で終始無言のまま。しばらくして出てきた従業員が、途中まで下ろされていた玄関シャッターを下まで閉めた。
食肉の偽装表示をめぐってはこれまで、秋田の特産品「比内地鶏」と偽った鶏肉などを販売した業者を秋田地検が今年、詐欺などの罪で起訴。豚や鶏の肉を牛肉と称して販売した「ミートホープ」元社長の実刑判決が確定するなど、「(処罰は)特産品のブランドイメージを失墜させた責任に加え、消費者の健康被害への影響が重視されている」(農水省担当者)。
飛騨牛表示の偽装が発覚した当初、丸明の吉田明一社長は不正への関与を全面的に否定。国や県の立ち入り調査を受け、一転して偽装の指示を認めたものの、自発的に明らかにされた不正はごく一部に限られ「騒ぎの早い幕引きを図っている」(同業者)との印象も招いた。
この間、元従業員の“告発”で過去の不正が次々と明らかにされた経緯もあり、当初「(捜査は)行政調査の結論を待って判断したい」(捜査幹部)と慎重な姿勢を示した岐阜県警も、関係者に対する刑事責任追及の動きへと大きく傾いた。
丸明への強制捜査について、養老町の同業者は「遅いくらい。地に落ちた飛騨牛のブランドイメージを回復するには、疑惑をうやむやにしないことが大切だ」と声を荒らげた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080708-00000101-san-soci