2008年07月07日(月) 16時33分
校庭に芝生、僕らが育てる 「緑育」通じ地域活性化(産経新聞)
■初期費用1平方メートル2万円が100円以下「和歌山方式」
子供たちの体力向上やヒートアイランド現象の抑制にも効果があるとして、全国の学校で校庭の全面芝生化が検討されるなか、和歌山県教委が低コストの芝生化手法を取り入れ、今年度から本格的に導入を始めた。児童や地域住民が芝生を植えることで、従来は1平方メートルあたり2万円前後の初期費用がかかるとされていたコストを100円以下に抑えられる。芝生を育てるという児童の学習面での効果も期待され、県教委は「和歌山方式」の手法を広めたいとしている。
校庭の芝生化は、子供たちが運動する際の安全性が向上するために、休み時間に運動する児童が増えて、運動能力がアップするだけでなく、都市部を中心に深刻となっているヒートアイランドに対して、気温を下げる効果があるとされる半面、芝生を張るための費用やその後の育成に手間がかかるため、財政難の自治体が多い中ではなかなか進まないのが現状だ。
和歌山県の場合は、最もコストがかかるという芝生を張る作業を児童や教職員、地域住民の協力で、作業代をゼロにする方法を試行することにした。今年度は8校に対して、1校あたり160万円の補助を実施。これまで各校での芝生植え作業がほぼ終了した。
このうち有田川町立小川小学校は、約3000平方メートルの校庭の芝生化を計画し、6月初旬に児童98人と保護者、地域住民ら計約260人が1万2000株の芝生を植えた。6年生の小畑夏海さん(11)は「世話してちゃんと育ってくれたらうれしい。転んでも痛くないので、早く芝の上で遊びたい」と話していた。順調に育てば秋ごろには全面が緑に覆われるようになるという。
同小では維持管理については、スプリンクラーの敷設工事を教員や保護者が実施し、水やりも交代で行うことにした。芝刈り機の購入費用なども含めて、補助金額内での芝生化を実現できる計算だ。
地域の力を借りる和歌山方式の芝生化は、学校と地域の連携強化も期待されており、同小の内田敏夫校長(52)は「芝生の維持管理は学校だけでやってはだめ。子供と保護者、地域が一緒にやることが重要。『緑育』を通じて地域コミュニティーの活性化を図りたい」と話している。
◇
■橋下知事意向受け、大阪は事業拡充
平成16年から芝生化事業を進めている大阪府では、現在開会中の7月臨時議会で、芝生化事業の約1000万円の予算案が凍結解除される見通し。財政難を背景に削減案が目立つなか、今年度の芝生化事業は自動散水装置も補助対象にし、助成金の上限を200万円から300万円に引き上げるという。橋下徹知事の意向を受けて、芝生化の拡充を進める方針だ。財源はこれまで通り、特定財源を利用したみどりの基金の運用益を充てる。
府みどり・都市環境室によると、大阪府の芝生化は、敷設作業と維持管理費で、1平方メートルあたり平均で約5300円かかるという。来年度には、財源も含めて制度を再検討するといい、同室は「財政は苦しいが、知事の公約でもある芝生化はなんとか進めたい」と話している。
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