記事登録
2008年07月04日(金) 03時07分

エビ養殖詐欺、国内口座の残高ほぼゼロ…750億配当などに読売新聞

 エビ養殖事業への投資を装った「ワールドオーシャンファーム」による巨額詐欺事件で、同社会長の黒岩勇容疑者(59)(組織犯罪処罰法違反容疑などで逮捕)らが国内の金融機関に開設した少なくとも計23口座には、預金がほとんど残っていないことが分かった。

 同社が集めた約850億円のうち約750億円は、出資者を信用させるため、配当などに回されていたことも判明。差額の約100億円が“粗利”とみられるが、黒岩容疑者は「90億円は海外送金した」と周囲に話しており、警視庁では、経費以外の大半は海外に隠匿されているとみて、流出先の特定を急いでいる。

 同庁幹部によると、同社が出資者からの集金用に使っていた金融機関の口座は九つあり、2005年春から昨年5月ごろまでの約2年間に、約3万5000人から約848億5000万円入金があった。

 資金は入金後すぐに9口座以外の別の口座に移されていたが、別口座はゆうちょ銀行や都市銀行などに少なくとも14口座が確認された。

 名義は同社や関連会社のほか、黒岩容疑者や黒岩容疑者の長男の厚宏容疑者(28)のものもあった。

 同庁がこの14口座を分析したところ、約744億円は出資者への配当支払いや元本の返金に使われており、出金の時期は同社が資金集めを始めた05年春から約1年半の間に集中していたという。

 集めた金との差額は約100億円に上るが、現在、集金用も含めた計23口座には、ほとんど預金は残っていないという。

 同庁では、配当などが滞り始めた06年末以降に集められた資金が、米国に送金された48億円など、海外に移されたとみている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080703-00000064-yom-soci