2008年07月04日(金) 10時28分
彼、連絡がとれなくなることが多くて…〜亀山早苗コラム(オーマイニュース)
「生まれて初めて不倫の恋をして、天国と地獄を見たような気がしたけど、同年代のまったり恋愛より楽しかったんですよね」
久々に会った友香さん(34歳・仮名)は、晴れやかな笑顔で言った。
彼女がひと回り年上の彼に出会ったのは、昨年秋。仕事で1度会っただけなのに、彼から熱烈に口説かれた。
「食事に行ったら、『あなたみたいなすてきな女性と食事ができるなんてうれしい』、『あなたにはまだまだ誰も知らない魅力がある』なんて歯の浮くようなことを言われて。だけど今どき、そんなこと言う男っていないから、逆に新鮮に感じたんです」
彼はバツイチで子どもはいないと言う。3度目のデートのとき、都心にある、夜景がきれいに見える彼のマンションで、友香さんは彼と関係をもった。
「今まで私、自分がそんなにエッチ好きだと思っていなかったし、つきあってきた同年代の男性たちはけっこうみんな、あっさり系が多かった。でも、彼はものすごく時間をかけて愛してくれて、今まで感じたことがないような快感を覚えたんです」
少しアクは強いけれど、それも自分で事業を手がけている男の強さだと友香さんは思っていた。心身ともにほれ込んだ。こんなに人を好きになったことはない、愛されたこともないと有頂天になった。
「『あんまり時間がないんだけど、今からウチに来ない?』と言われれば、夜中でも飛んで行きました。泊まらせてくれることもあったけど、エッチしたらすぐに帰されてしまうこともあった。忙しいとデートをドタキャンされたり、逆に『時間ができたから』と急に車を飛ばして湘南のほうのすてきなレストランに連れて行ってくれたり。完全に振り回され、彼中心の生活になっていました」
今日なら1日中、一緒にいられると言われて、会社に病欠の連絡を入れたこともある。仕事熱心で、仕事の邪魔をするような男とはつきあえないと言っていた友香さんの劇的な変化だ。
「彼のためなら何でもできると思っていたんです。だけど熱に浮かされたような時期が過ぎると、なんだか変だなと思うことが多くなって」
独身なのに連絡がとれなくなる時間帯が多い。マンションの洗面所の引き出しに自分のものではない化粧品の瓶があった。ぎらぎらしたやり手の男だ、ほかに女がいるのかもしれないと思った。それでも、自分のほうがいいと思わせてやる、と友香さんは戦闘モードになって恋愛街道を驀進(ばくしん)した。
「あるとき、偶然、彼のことを知っている人に会って、彼の話題が出たんです。そうしたらなんと、彼は結婚しているという。しかも愛人が数人いる、と。腰が抜けそうになりました」
友香さんは「お手当」などもらっていなかったが、どうやら家賃や生活費のめんどうを見てもらっている女性もいるらしい。なぜなら、その女性には彼との間の子がいるから。本妻は郊外に住んでいるという情報も得た。
「どうやって切り出そうか悩みました。じゃあ別れようと言われるのも怖かった。でも、先々のことも考えたんです。私はやはり一度は結婚したいし、子どもを産むなら婚姻関係の中で生み育てたい。彼に振り回される恋愛にも、少し疲れていたんだと思います。聞いたことを彼にぶつけると、『ばれちゃった? ごめんね』と悪びれた様子もない。『だけどオレ、きみのことが大好きなんだよ』と。気持ちが揺れましたけど、やはり別れようと思いました」
彼は抵抗しなかった。もともと来る者拒まず、去る者は追わずというタイプなのかもしれない。
別れて2カ月、彼女は今、少しだけ冷静にあの恋愛を振り返ることができるようになった。
「単純に楽しかったなと思います。好き、会いたい、一緒にいたい、ひとつになりたい、と私自身の気持ちも行動もストレートだった。愛されているかどうかより、自分が好きだという気持ちで突っ走ったのは初めてだった。振り回される恋愛も、楽しいものだなと思いましたね。半年だったし、隠されていたことはあったけど、彼は自分の考えや気持ちをいつも正直に話してくれた。それはそれで濃密な関係だったと思います。今までの恋愛では感じなかった、“手応え”のある関係だった」
手応えのある関係。30代の女性たちが、往々にして、「ちょっとぎらついた40代の男」との関係に走りやすいのは、この「手応え」があるせいかもしれない。
「本当は同年代の独身男性と、濃密な関係を築いて結婚できればいいんですが、今、周りを見渡すと、やはり彼のような惹きつけられる男性がいないんですよね」
友香さんは、少し寂しそうにつぶやいた。
(記者:亀山 早苗)
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