2008年07月02日(水) 13時18分
クレーン付き台船、鬼の洗濯板から離れる(オーマイニュース)
1カ月前の6月2日の夜、宮崎市の沖合で、台風5号の影響によるうねりを受けて、えい航用ロープが切れて宮崎市内海(うちうみ)港北側の海岸に漂着したクレーン付き台船(長さ150メートル、幅44メートル、重さ16000トン)は、7月1日午後2時半過ぎ、久しぶりに波状岩、「鬼の洗濯板」から離れた。
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私は、漂着後の6月3日以降、現場に出向いて作業の様子を見守っていた。
6月4日以降、天候を見計らいながら、ダイバースーツに身を包んだ関係者がクレーン付き台船に乗り込み、被害状況の把握や確認作業などを行っていた。
時折、海上保安庁第10管区海上保安本部宮崎海上保安部の巡視艇「きりしま」が、海上からクレーン付き台船の様子を確認していた。
6月20日午後、現場に出向くと、日本サルベージの第2静波(せいは)丸と建設会社の日神丸が作業を行っていた。台船の底には複数の穴が開いており、2メートルほど浸水している。この穴をふさぐ作業を行い、浸水部分に空気を送り込んで台船を浮かせる。
当初、この作業は、6月26日から28日にも終わると見られていたが、作業は続けられた。
6月29日の日曜日、休みということもあり、現場近くの道路には多くの車が止まり、作業の様子を見守っていたが、この日も大きな動きはなかった。
7 月1日、午前中の取材を終えて再び現場に出向くと、サルベージ船とタグボート3隻がクレーン付き台船近くの海上に進み、えい航に向けての準備を進めていた。サルベージ船と台船が陸上からでも確認できる太いロープで結ばれた。同じく、2隻のタグボートにもロープがつながれた。残ったタグボートは、作業の状況を見守っていた。
午後2時半過ぎ、サルベージ船やタグボートに引っ張られ、クレーン付き台船が静かに動いた。非常にゆっくりとしたスピードだった。慎重に作業を行っているのだろう。それにしてもタグボートたちは力持ちである。
しかし、50メートル程度進んだところで、1隻のタグボートのロープが切れた。陸上まで音が届いた。その後、ロープを結び直し、サルベージ船やタグボートにえい航され、クレーン付き台船は、静かに鬼の洗濯板を離れた。
この1カ月間、現場近くにある道の駅・フェニックスは、このクレーン付き台船も観光スポットのひとつになっていたが、やはり、景観を考えるとこれまでの自然な姿のほうが良い。夏の本格的な観光シーズンを前に、クレーン付き台船が鬼の洗濯板から離れたことで、また、いつもの日南海岸を見ることができる。
ちなみにクレーン付き台船は、近くの油津港(日南市)に入港し、3カ月ほどかけて修理を受けることになっている。
(記者:大谷 憲史)
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