2008年07月01日(火) 13時40分
「世捨て人」はいまだ健在なり(COURRiER Japon + hitomedia)
かつて筆一本で国家と戦った作家の体は老齢から弱っており、一人で歩くことも難しい。メディアに登場することもなく、モスクワ郊外にある自宅にここ5年ほどこもりきりになっている。
彼の名はアレクサンドル・ソルジェニーツィン(89)。世間からはすでに「過去の人」と見られ、世捨て人のような生活を送っている彼だが、今のロシア人がソルジェニーツィンのことをあまり知らないのには理由がある。
1962年に強制収容所での生活を描いた『イワン・デニーソヴィチの一日』(邦訳:新潮社刊)で鮮烈なデビューを飾り、70年にはノーベル文学賞を受賞したソルジェニーツィンだったが、74年にソ連政府は彼を逮捕。「国家反逆罪」で国外追放に処した。それとともに、彼の著作も発禁処分となり、ロシア人は彼の小説を読まなくなっていったのだ。
だが、ソルジェニーツィンの情熱はまだ消えていないようだ。彼の妻ナターリアによると、現在、彼は全30巻に及ぶ自分の全集の完成に全身全霊を傾けているのだという。全集の第1巻は既に発売されている。ロシア人が彼を「再発見」する日は近いかもしれない。
タイムズ(UK)より。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080701-00000000-cou-int