2008年06月30日(月) 11時40分
その薬、本当に必要ですか? 薬を見直そう!(オーマイニュース)
薬局で待つ間、高齢者や小児を中心にたくさんの薬が処方され、薬剤師の説明に熱心に頷いている患者さんの姿をよく目にします。
その薬局の窓口で、買い物袋ならず、ビニール袋に入りきらないほどの薬を受け取る患者さんを見て、恐ろしいと感じるのは私だけでしょうか。貼付剤やシロップ剤などかさばる薬は別にしても異常な量を目にすることがしばしばあります。
■薬は元来毒物です
薬は異物、有機化合物ですから元来人体には有害な物質です。多剤併用の副作用も問題視されています。飲まなくてよければ飲まないほうがいいに決まっています。それにも関わらず、一部の医療機関ではどうしてこうも多量の薬を処方するのでしょうか。病院経営上という理由であってはなりません。
初診時、原因不明の高熱などで病原菌が同定できない場合、解熱剤や抗生物質などを4、5剤程度処方するのはやむを得ないとしても慢性疾患患者に対する薬の種類、および量は本当に適当なのでしょうか。
慢性疾患の患者さんで、主因となる病気の治療薬は別にして、眠れないといっては睡眠剤を、気分がすぐれないといっては精神安定剤を、胃が重いといっては胃腸薬を処方され、結果として日々、5剤以上の薬を飲み続けている人はいませんか。
アメリカで病院勤務経験のある知人の医師の言葉にこのようなものがありました。
「老人保険のメディケアでは、治療費の大部分は保険から支払われますが、薬代は個人負担です。日本のような処方を行ったら患者からそっぽを向かれます」
■薬を見直そう
その薬、本当に必要ですか? 体にも優しく医療費抑制効果が高い、薬の見直しをしましょう。
日常的に5剤以上服薬している方がいたら、「どうしてこんなにたくさん薬を飲まなくてはいけないの?」と自問自答してみてください。治療開始時必要であっただけで、今では不要な薬も、もしかしたらあるかもしれません。また、その後追加処方された薬の中にも今必要かどうか疑わしい薬もあります。
薬は薬価により算定され、本人は10〜30%を窓口で支払い、残りは保険料と公費で賄われます。薬の見直しで、無駄な薬をなくせれば薬剤費が大幅に低減されることが期待できます。
およそ年間8兆円の薬剤費のうち、もし、投薬の無駄が排除され30%低減されれば、2.4兆円の節約にもなります。
後期高齢者問題では医療費の抑制が強く求められていますが、普段何気なく服薬している薬を見直すことで医療費抑制に寄与できるとすればこんな素晴らしいことはありません。
■医師に相談してみよう
ご自身の身体を守るためにも、主治医に「先生、薬の種類を減らせませんか?」と勇気を出して言ってみましょう。この一声が福音をもたらすかもしれません。
そうはいっても医師に面と向かってはなかなか言いにくいものです。そんな場合の対処法です。
看護婦さんや薬局の薬剤師さんが強い味方になってくれるはずです。看護婦さんなら担当医師に患者さんの意向を取り次いでくれます。嫌な顔をするようなら、その病院はやめたほうが賢明です。
もし、外部の調剤薬局をご利用なら、薬剤師さんに希望を伝えてください。薬剤師さんの判断で処方薬を変えることはできませんが、良心的な薬剤師さんなら担当医師にすぐ電話をして、患者の希望や意向を伝え、変更可能なら変更してくれます。
臨床医ではないので軽々しくは言えませんが、糖尿病である記者の主治医は降圧剤とコレステロール抑制剤以外、処方してくれません。糖尿病の薬(血糖降下剤)を飲まずとも、食事療法や運動で脳梗塞や心筋梗塞などの予防はできるというのです。この考えを支持するお医者さんも少なくありません。
要はご自身の意向をはっきり医療側に伝えることです。もちろん、ジェネリック医薬品への変更も忘れないで下さい。
■健康は食生活と運動第一
薬よりも日々の健康管理が大事だと言います。「食事をしたら運動する」「食べ過ぎない、飲みすぎない」です。
禁煙も不可欠要因として挙げられます。もちろん食物に対する感謝の気持ちを忘れてはいけませんが、この場合「もったいない」は禁物です。おかずを残したり、ラーメンのスープを飲み残したりと行儀の悪いことがかえってよい結果を生みます。なんといっても適度な運動と節食が健康維持には大切なことです。
医療費抑制策としても効果的な「薬の見直し」にあなたも取り組んでみませんか。ひとりではわずかでも、塵も積もれば山となります。
(記者:宮本 聰)
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