今月成立した有害サイト規制法を受け、携帯電話サイト業界などでつくる第三者機関「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)」が検討を続けていた青少年向け健全サイトの認定基準の全容が28日、明らかになった。
犯行予告などへの監視態勢を強化し、捜査当局への通報を含め迅速に対応することなどを定めている。7月中旬から運用を始め、基準を満たしたサイトは、未成年利用者の閲覧を制限するフィルタリングの対象から除外される見通しだ。
青少年向け人気サイトの運営会社の大半が申請するとみられ、有害サイトのはんらんに一定の歯止めがかかることが期待される。
ネットの有害情報を巡り民間団体が基準を示すのは初。有害サイト規制法は、犯罪や自殺を誘引するような情報を「有害情報」として例示しているが、「表現の自由」に配慮して、どんな情報を有害とするか個別の判断は民間に委ねた。
審査対象は、掲示板や、会員制のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)、プロフ(自己紹介サイト)など。
基準は、〈1〉携帯端末の識別情報の管理〈2〉通信記録の3か月以上の保管〈3〉利用者の年齢確認〈4〉悪質利用者の強制退会措置〈5〉犯行や自殺予告など緊急時の対応──など22項目。すべての基準を満たせばEMAの「認定サイト」としてお墨付きを与える。違反した場合は認定を取り消す。
これまでは携帯端末ごとの識別情報を管理していない運営会社もあったが、認定サイトでは管理が義務づけられるため、全社が利用者の状況を把握でき、悪質な場合は、しめ出すことが可能になる。
秋葉原無差別殺傷事件では、加藤智大容疑者(25)は犯行前、携帯サイトに事件をほのめかす書き込みをしていた。今後は運営会社が常時監視し、土日祝日も通報や問い合わせに応じる。
携帯サイトを巡っては、昨秋にゲームサイト「モバゲータウン」で出会った男に女子高生が殺害されるなどの事件も相次ぎ、携帯電話各社が保護者らにフィルタリングをかけるよう奨励している。ただ、現行ではすべてのSNSやプロフなどが閲覧できなくなるため、普及していない。今後、EMAの認定を受けてフィルタリングの対象から外れるサイトが増えれば普及するとみられる。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080630-OYT1T00196.htm