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2008年06月29日(日) 08時00分

ウナギ偽装 魚秀、現金取引で隠蔽 伝票も架空会社記載指示産経新聞

 水産物輸入販売会社「魚秀(うおひで)」(大阪市)が中国産ウナギを「愛知県三河一色産」と偽装表示した問題で、同社役員が偽装隠しに利用していた東京都内の2商社に対し、魚秀が製造元であることを隠すために記録が残らない現金取引を執拗(しつよう)に迫り、伝票にも架空会社の名前を記載させていたことが28日、関係者の話で分かった。

 魚秀は今年3〜4月、中国産ウナギのかば焼き256トンの原産地を一色産、製造者を架空会社「一色フード」と表示して販売。卸売業者の神港魚類(神戸市)から代金7億7000万円の支払いを受ける際には、2商社を経由させ、一色フード名義の領収書を発行するなど偽装隠しをしたことが明らかになっている。

 関係者によると、魚秀が2商社に偽装隠しへの協力を要請したのは1月下旬ごろ。魚秀役員が2商社のうち1社の社長に、偽装などの事情を告げずに、帳簿上だけウナギを仕入れて神港魚類へ転売したことにする「伝票通し」を持ちかけ、代金を神港側から魚秀に流すよう要請した。

 この際、魚秀への支払いは取引の記録が残る銀行口座の振り込みではなく、「現金にしてくれ」と要求。不安を抱いた社長に断られると、「考え直してくれ」「(業界大手の)神港魚類の取引だから」と何度も迫ったという。

 この社長がもう1社の商社社長と相談して協力を約束すると、さらにウナギの製造者は「一色フード」と社内伝票に記載するように商社側にFAXで指示。実際の製造者が魚秀であることが帳簿上、分からないようにさせた。

 魚秀の中谷彰宏社長やこの役員は3〜5月ごろ、代金7億7000万円から2商社の手数料計4000万円を差し引いた現金約7億3000万円を、東京で4回にわけて手渡しさせた。受け取り後、宿泊する外資系高級ホテルへ車で送らせたこともあったという。

 商社社長の1人は「伝票通しは業界で珍しくない。大手の神港魚類相手の取引で、代金支払いにも問題はなかったから、伝票の内容は気にせず言われた通りにした」と説明している。

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