2008年06月28日(土) 02時33分
<競馬出資法違反>偽名使い分ける 伊藤取締役、事業仕切り(毎日新聞)
投資顧問会社「東山倶楽部」が競馬結果を的中させて高額配当するとうたった出資法違反事件で、実質経営者の伊藤敦彦取締役(50)=出資法違反容疑で逮捕状=が偽名を使ったうえ、監査役や本部長など複数の肩書で会員の勧誘をしていたことが27日、分かった。愛知・島根両県警捜査本部は、伊藤取締役の国際手配を検討しており、逮捕し次第、同社が設立された経緯や偽名を使った理由などを追及する方針。
法人登記簿によると、同社は東京都の男性(66)が代表取締役を務め、ほかに伊藤取締役を含む取締役3人と「山田隆男」名の監査役1人が名を連ねる。だが捜査本部の調べでは、「山田隆男」は伊藤取締役の偽名で、1人2役だった。また伊藤取締役は出資説明会で同じ偽名を使い、事業本部長や総責任者の肩書で「競馬は財テク」などと宣伝して会員に出資を呼びかけていた。
同社は04年10月から投資事業を始め、06年初めには配当が滞って実質的に破たん状態となった。伊藤取締役は06年9月、同じ偽名で退会者へ文書を送付、「競馬年金銀行の設立」という架空の新規事業を掲げて「設立準備が着々と進んでいる」として新たな出資を募っていた。
調べでは、伊藤取締役を除く役員3人は名目だけの存在で投資事業には関与しておらず、業務はすべて伊藤取締役が取り仕切っていたという。代表取締役の男性は毎日新聞の取材に対し「借金する際、仲介してもらった代わりに名義貸しした。報酬は一切受け取っていない。伊藤取締役とは連絡が取れない」などと話している。【福島祥】
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