経営破たんした英会話学校NOVA(破産手続き中)で昨年7月、福利厚生用の社員の積立金約3億2000万円を流用したとして、大阪府警捜査2課は24日、業務上横領容疑で、元社長、猿橋望(さはしのぞむ)容疑者(56)=大阪市=、経理を担当していた元次長、村田利彦容疑者(49)=奈良市=を逮捕した。
捜査2課は、大阪市中央区の統括本部があったビルなど関係先数か所を家宅捜索。業界最大手の英会話学校の経営破たんから約8か月、経営者の刑事責任が問われる事態に発展した。
猿橋容疑者は容疑を一部否認、村田容疑者は認めているという。
調べでは、猿橋容疑者らは昨年7月20日、福利厚生のためにつくられた「社友会」の積立金約3億2000万円ほぼ全額を、実質支配する「ノヴァ企画」の銀行口座に移して横領した疑い。その日のうちに受講生の解約返還金に流用された。
NOVAは昨年6月、経済産業省の一部業務停止命令を受け、受講生の解約が急増。積立金が流用された昨年7月20日は返還金約5億3000万円の支払期日だった。
社友会は猿橋容疑者が会長で1992年に設立。社員の申請に応じて慶弔費や社員旅行費が支払われた。同社グループ各社の社員二千数百人の給与から2000円前後が天引きされ、積立金として同社会計とは別に村田容疑者らが管理していた。
元社員によると、規約が定められていたが、理事や監事もいなければ年1回の総会も開かれていなかったという。収支状況も明らかではなく、猿橋容疑者が会社の運転資金に回したり、一部が裏金になっていたりした可能性が指摘されていた。
捜査2課は、昨年10月の経営破たん直後から捜査を開始。NOVAの「お茶の間留学」事業をめぐる不透明な資金の流れなどを調べる中で、業務上横領容疑が浮上した。
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