2008年06月23日(月) 15時42分
結局、依頼したのは「不良探偵」だったのか?〜市民記者が検証した「探偵の仕事」最終回(オーマイニュース)
前回の続き
「私が相手の家庭を壊すぐらいならここで私が死にます」
その瞬間、黙っていた夫がせきを切ったように激高し、妻に殴りかかろうとした。私は夫を突き飛ばして止めた。
夫:相手の家庭が安穏としててウチはどうなるんだ!
私:いずれにしても夫婦でうまくやり直さなければ、ご主人は相手を訴えるでしょう。相手の家庭ににも仕事場にも行くでしょう。
妻:相手は分かっているんですか?
私:A信金B支店のXXXさんですよね。
妻は青ざめて黙りこんだ。
夫と話をして、妻が目の前で男に電話。浮気がバレて証拠写真もあり、相手の自宅勤め先、自宅まで分かっていることを告げ、二度と会わないと約束することで終わりにすることとした。
私からは、法的手続きを取らず相手から金品を受け取らないように、と念を押した。
◇
浮気の原因は夫にもあった。妻が老けたと平気で言い、「モテて来い」とまで言っている。それを言われた妻の気持ちを思い図ることはできなかったのだろうかと思う。
もっとも、夫は「妻が浮気などするはずない」と思っていて、それほど妻にインパクトのある言葉だとは思っても見なかったであろう。
探偵にも落ち度がある、クライアントをうまくコントロールできなかったことだ。
会ってみて、そんなにズルい探偵だとは思わなかった。おそらく、相談があった時点で夫に同情し、感情移入があったと私は思う。私も現役時代そうであった。ただ恋心は結婚していても芽生える。そこで一線を越えるか越えないかは、家庭のあり方だと思うのである。
「罪を憎んで人を憎まず」という言葉があるが、私は現役時代から10余年の歳(とし)を重ね、不倫という罪も不倫する人にも憎悪は感じなかった。ただ、「事実を確かめたい。事実がハッキリしない限り、男性も妻も先に進めない」と思っただけである。
別れるつもりのない夫婦が、苦しい家庭で生活している。気づかなければいいものに気づいてしまった家庭を救うためには、真実を明白にして再スタートすることだと思った。こんな気持ちで調査ができていれば、私も現役時代に依頼者に振り回されることはなかったと思う。
探偵と信頼関係を築けなかった夫も、どこの探偵に頼もうと結果は同じだったと思う。もし悪徳業者につかまれば、なんだかんだと時間をかけて金を支払い続けさせられたであろう。
そういった意味でけんか別れをしてでも、無駄な調査から手を引きたかった探偵の気持ちも理解できる。探偵には事実を伝え、1カ月分の調査料金の返金をしてもらった。
なお妻は、男とは出会い系サイトでであったそうである。
〈了〉
(記者:湯浅 秀昭)
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