2008年06月23日(月) 12時00分
たばこと塩はどうして専売公社で売られていたの?(R25)
渋谷駅からNHK方面へ向かう途中に「たばこと塩の博物館」なる建物がありますが、そもそもなぜこの組み合わせなのか、ご存じですか。
「それは塩とたばこが、かつて国が独占的に作って売っていた『専売品』だからです」とはたばこと塩の博物館の鎮目さん。子供みたいな質問ばかりで恐縮ですが、じゃあなぜこの2つが専売品になったの?
「大きな要因のひとつは日露戦争です。明治政府はなるべく多くの税金を集めたかった。加えてたばこの場合、国内での紙巻たばこ(シガレット)の登場と流行が無視できません。それまでのキセルで吸う刻みたばことは違い、紙巻たばこは定型の工業製品なので、巨大資本を投下することで利益が生める産業だった。しかしその分、外国たばこの脅威にもさらされるわけで、実際、海外企業による国内企業の買収もありました。そこで自国のたばこ産業を守ろうという目的もあって、国がたばこを作って売る『製造専売』を明治37年に始めたんです」
なるほど。では塩が専売になったのは?
「塩は翌38年から製造専売が始まりました。もともと日本では岩塩は取れず、塩水を太陽にさらして天日塩を作ろうにも、雨が多い気候なので作れなかった。意外かもしれませんが、日本で海水から塩を作るのは大変な作業だったんです。また、塩は生活必需品なので税をかけやすい事情もあった。加えてたばこと同じく、外国産の輸入塩も入りつつありました」
お金も取れるし、自国産業も守れると。
「ただし塩の専売は、第一次世界大戦の物価高から事情が変わります。塩は生活必需品なので値上げするわけにいかないし、全国に平等に流通させなくてはいけない。そこで『収益専売』から国民の利益を優先する『公益専売』へと路線転換したんです」
その後、たばこは1985年に、塩は1997年に専売制が廃止されるわけですが、もっと詳しく歴史を知りたい方は、一度、同博物館を訪れてみては? 非喫煙者の筆者でも楽しめましたよ。
(R25編集部)
※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです
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