警視庁は20日、秋葉原の無差別殺傷事件の際、負傷者の救助に協力した69人のうち17人に感謝状を贈った。報道陣の取材に応じた3人は「とにかく助かってほしいという思い一つで必死だった」と、凄惨(せいさん)な現場での救助活動を振り返った。
大学職員の高橋幸子さん(42)は当時、夫と一緒に交差点付近にいた。事件を目撃した直後、がく然として体が動かなかったが、「夫から『数か月前に救命講習を受けたことを思い出せ』と言われ、ハッと気づいた」といい、その後、負傷者に駆け寄ったという。
救急救命医の山本明彦さん(36)は、秋葉原駅を出ると、サイレンの音を聞き、現場に駆け付けた。しかし、血だらけで横たわる負傷者に「一瞬、パニックになった」。普段はスタッフや医療器具がそろった病院での活動だが、「人や物資もないのに目の前に重篤な人がいる。想定も経験もしたことがない現場だった」と苦渋の表情を浮かべた。
秋葉原に遊びに来ていた海上自衛官の千葉翔悟さん(20)も、「気が動転していたのでよく思い出せない」としながら、「仕事柄、こういう時こそ役に立つべきと救護にあたった」と話した。
残る52人には順次、感謝状が贈られる。一方、加藤容疑者を逮捕した万世橋署秋葉原交番の荻野尚巡査部長(41)ら5人に警視総監賞が贈られることが決まった。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080620-OYT1T00475.htm