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2008年06月18日(水) 12時00分

レンタルサーバ会社vsスパム業者知られざる戦いの裏舞台とはR25

PCのメールボックスを確認すると、スパムがドッサリ…毎朝その削除作業から仕事がはじまる、という人も多いはず。サーバ上のメールフィルタでブロック対策をしても、スパムメールが届いてしまうのはどうして? そもそもスパムの定義が曖昧ってこと?

「スパムとは、受信者の同意を得ず一方的に送信される広告・宣伝目的のメールで、“迷惑メール”とほぼ同じ意味です。日本では未承諾メールであることを明記する法律があり、メールフィルタはそれらの情報をもとに分類します。しかし、未承諾メールであることを明記しないうえに、『先日の件で』『久しぶり!』など、さも普通のメールのように装ったスパムが増え、通常のフィルタでは分類できないケースも出てきました。そこで、多くのサーバが“ベイジアンフィルタ”というスパム情報が貯蓄できるフィルタを導入。これは、一度スパムと認識したサーバを記憶していくので、2度目からは確実にブロックできます。その情報をユーザー全員で共有し、スパム受信を激減させたのがGoogleのGmailです」と、教えてくれたのは、レンタルサーバ会社のベテラン管理人のAさん。

じゃあ、スパム情報をみんなで共有すればスパム激減! かと思いきや、別のレンタルサーバ会社の管理者、Bさんからこんな声が。

「情報共有した場合、スパム業者に利用されたサーバ全体がスパム業者とみなされて、他の一般ユーザーのメールまでスパム扱いされてしまう可能性もあり、なかなか情報共有に踏み切れないのが現状。スパム業者対策としては、サーバ契約時に“スパム送信に使用しない”よう承諾を得るのはもちろん、メール送信数をプログラムで監視し、一定数以上の送信を制限するなどしています」とのこと。

うーん、スパム情報の共有もレンタルサーバ会社にとっては諸刃の剣なんですね。じゃあ、結局スパムは減らないのでしょうか?

「スパム業者に対し、アメリカの裁判所が2億3400万ドルの損害賠償支払いを命じるなど、世界的に厳罰化が進んでいます。日本も2008年5月末の法改正で、罰金額が100万円以下から3000万円以下に引き上げられました。さらに、あらかじめ同意した相手だけに広告メールを送信できる“オプトイン方式”導入を決定。おかげで、受信者が拒否連絡した場合のみ送信を禁止する現在の“オプトアウト方式”に比べれば、ずいぶんスパムを送りにくい状況になったと思います。ただし、この法改正で外国のサーバを介して送られてくるスパムまで防げるかは微妙ですね」(前出のAさん)

10万通のスパムメールを流して1通反応があれば、スパム業者は儲かる仕組みになっているという話もあるそうです。迷惑メール撲滅には、まだまだ時間がかかるのかもしれませんね…。
(R25編集部)

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※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです

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