2008年06月17日(火) 21時39分
日本海イカ漁が一斉休漁 燃料高騰で窮状訴え(産経新聞)
スルメイカ漁が最盛期を迎えている日本海側のイカ釣り漁船が、燃料の重油高騰で採算がとれずピンチに陥っている。「全国いか釣漁業協議会」の呼びかけで18、19の両日、一斉休漁して窮状をアピール、政府に燃料高騰分の補填(ほてん)などを求める。
■日本海で捕獲された珍しい「8本足のイカ」■
一斉休漁に加わるのは島根県で110隻、鳥取県で133隻。兵庫県でも浜坂町漁協所属の7隻が加わるほか、他の漁協も休漁を検討しているという。
兵庫県香美町の但馬漁協所属の守山肇さん(68)は「出漁しても燃料代を引くと赤字の日がある」と顔を曇らせる。
兵庫県内では、漁船が使用する重油価格は平成17年4月ごろまでは1リットル60円前後で推移していたが、年々上昇。今年4月に98円だった価格が6月には一気に約120円となった。守山さんは「重油価格が1リットル100円を切らないと、漁師の生活は苦しい」と訴える。
鳥取県の境港の漁師(74)は「イカ漁から、燃料がそれほどかからないジャコ漁に乗り換えた。今年になってイカ釣り漁船を手放す人や、燃料費を抑えようと小型船に乗り換えるケースも出ている」と打ち明けた。
鳥取県水産課では、重油による発動機で電力を供給している集魚灯を減らす省エネ漁業を指導する。漁獲量が減るのを承知で6灯を4灯にする船も現れた。
このまま燃料高騰で出漁を見合わせるケースが増えると、夏の観光にも影響が出そうだ。
京阪神などからイカ目当ての観光客が多いという香美町内の旅館「甲羅戯」の女将、藤原裕子さん(47)は「イカの水揚げが減少すると、出す料理がなくなってしまいます」と不安を募らせる。
同町の藤原久嗣町長は「補助金を漁師さんらに出すことは難しいが、基幹産業の保護は大切だ。漁師さんらの要望を聞き、何らかの対応を急ぎたい」と話している。
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