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2008年06月16日(月) 17時21分

副都心線は東京で最後の地下鉄!?オーマイニュース

 新宿三丁目駅〜渋谷駅間まで、新しく開業した東京メトロ・副都心線に乗ってきた。開業して最初の週末とあって、副都心線を初体験しようと、大勢の人々が利用していた。

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 新宿も渋谷も平素、記者がたびたび訪れる繁華街。しかしこれまで、2つの街を移動するときに利用する交通機関はJR山手線と決まっていた。あるいは徒歩。明治通りを散歩を兼ねて歩いたものだ。

 副都心線では、新宿三丁目〜渋谷間が急行(1時間に平均4本)でノンストップ。所要時間、わずかに5分だ。ついに、2つの街の距離感はないも等しいものとなったのだ。

 この急行を利用すれば、渋谷〜和光市間が25分(各駅停車だと35分)。

 停車駅も途中、新宿三丁目・池袋(渋谷から11分)・小竹向原(同15分)と、かなり大胆に駅を飛び越える。

 これで、埼玉県の南西部から池袋・新宿・渋谷の各繁華街(副都心)へのアクセス環境が飛躍的に向上した。

 終点の渋谷に到着し(地下5階)、改札を出たあと(地下3階)、地上に戻るまでどこをどう巡っているのかまったく分からなかった。通路、エレベーター、階段のどれもが新しくて未知のもの。そして何より、巨大な空調用吹き抜け(自然の空気の流れで空調を整える新しい仕組みらしい)が階層を貫いているなど、一体いつの間にこれだけの大規模な工事を地面の下で成し遂げたのかと、不思議に感じた。

 新正面出口というところから地上に出て初めて、副都心線・渋谷駅がどこに位置するかを知った。かつて、長らく「東急文化会館」があった場所だった。取り壊されてから建設工事が進んでいたことは承知していたが、あいにく、この場所に地下鉄のジャンクションを造っていたことまではノーマークだった。

 東急文化会館と言えば、東急電鉄創業者・五島慶太の姓を冠した五島プラネタリウムが置かれていた、あのいにしえの東急グループの中心施設。今回、新たに完成した副都心線・渋谷駅の規模の大きさからして、いずれここを東急電鉄の新たな交通拠点にする計画があるに違いないと直感した。

 調べてみると案の定、2012年から副都心線と東急東横線/横浜みなとみらい線との相互乗り入れが始まる予定だと分かった。近い将来、埼玉南西部から横浜に至る広域鉄道網が整備されることになる。

 同じく埼玉の新都心から大崎を経由し、りんかい線を介して東京東部(新木場)まで乗り入れているJR埼京線と、この東京メトロ副都心線とは、途中で池袋・新宿・渋谷をつないでいることも含め、よく似た特徴を持つ。人的移動は、その傾向を大きく変える可能性があり、経済的影響も計り知れない。

 副都心線が、これら3つの繁華街(副都心)を結ぶことはもちろん、並走するJR山手線、埼京線の混雑緩和に大きく貢献するだろうが、痴漢発生件数ナンバーワンの不名誉な記録を持つ埼京線の二の舞を演じることのないよう、せっかくの機会なので強く望んでおきたい。

 なお、東京メトロでは「副都心線後の地下鉄建設計画はない」としている。銀座線開業(浅草〜上野間)以来81年。今回が、東京で最後の地下鉄開通になるのかもしれない。

(記者:中井 伸二)

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