2008年06月15日(日) 13時36分
地鳴りと突き上げる揺れに「家が潰れる!」──震源から50キロの恐怖(オーマイニュース)
14日午前8時43分。茶の間で新聞を読んでいたときのことだ。いきなり下の方からゴーッという大きな地鳴りがしたと思ったら、突き上げるような強い縦揺れが起きた。が、間もなく、それは横揺れに変わった。激しい揺れは1分ぐらいも続いたろうか。立ち上がることができず、立ちひざの姿勢で揺れが落ち着くのを待った。頭上の蛍光灯が激しく左右に揺れている。台所に目を移すと、据付型の食器棚の戸が揺れの勢いで開いたり、閉じたりしている。
揺れはまだ続いているが、揺れがピークを過ぎた頃を見計らって、寝たきりの母の部屋に急いだ。
◆ついに来たか!
部屋には、母に食事をさせている妻が、ベッドに捕まりながら母の体を押さえていた。大きな揺れの割には、家具などの転倒や、物が落下する被害はなかったのはさいわいだった。自慢ではないが、地震に対する経験は豊富なつもりで、地震の大きさは体の感覚である程度分かる。揺れた時、直感的に、家が潰れるかもしれない、と感じた。
私は1978年に起きた宮城県沖地震を経験しているが、それぐらい強い地震に思えた。案の定、私の住む宮城県登米市では震度5強だった。その意味で、わが家で被害がなかったのは不思議なくらいだ。
震源地は岩手県南部の内陸部。テレビ報道が示す震源地から判断すると、私の住む市と震源地との距離は50キロ余で、M7・2という地震の規模からすれば、強い揺れは当然といえる。
私は地震の揺れの時、あることを思った。
「ついに来たか」──。
◆宮城県沖地震にも警戒を
“ついに”とは、宮城県沖地震のことだ。宮城県沖地震は、日本で最も発生の確率が高い地震とされている。地震の起きる確率が99%とも言われている同地震の周期性からみれば、いつ起きてもおかしくない時期にきている。
実は、地震が起きたこの日は、30年前に起きた宮城県沖地震の日の2日後にあたる。2日前には、県内各地でこの地震を想定した防災訓練を実施したばかりであった。
このようなこともあって、地震の瞬間、これが予想していた宮城沖地震か、と思った。だが、震源地は岩手県南部の内陸で、「平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震」と命名されたこの地震は、幸か不幸か、私の思った宮城県沖地震ではなかった。
今回の地震では、6人の犠牲者や多くの不明者、けが人が出ており、時間の経過とともに被害が拡大している。現在も余震が断続的に続いている。宮城県民は今後もこの余震と、想定される宮城県沖地震、双方に神経を集中させなければならない。
(記者:藤原 文隆)
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