岩手県奥州市と宮城県栗原市で十四日午前、震度6強を記録した岩手・宮城内陸地震は、午後も余震が続いた。両市内で新たに五人の死亡が確認され、死者は計六人になった。共同通信の集計で重軽傷は百九十人を超えた。また土砂崩れで倒壊した旅館の下敷きになるなどして十一人が行方不明となったほか、道路が寸断され、孤立する施設や集落も相次いだ。
気象庁によると、午前八時四十三分ごろに震度6強を記録後、午後十時までに震度1以上の余震を百九十七回観測した。
震度6強は昨年の新潟県中越沖地震以来。マグニチュード(M)7を超える内陸部の直下地震は過去五十年で、一九九五年の阪神大震災と二〇〇〇年の鳥取県西部地震に続き三回目という。
官邸対策室や各県警などによると、新たに死亡が確認されたのは、奥州市の胆沢ダムの工事現場で落石を受けた
栗原市の工事現場では、ほかにも作業員一人が行方不明となっている。また旅館の建物の下敷きになっているのは七人で、うち二人は宿泊客の東京都内の男女。県警などは同日夜に捜索をいったん打ち切り、十五日朝から再開する。
このほか、栗原市では「釣りに行く」と言って自宅を出たまま連絡が取れない男性ら三人の行方も分からないという。
また道路崩壊などで孤立したのは、岩手、宮城両県で約四百人に上り、岩手県一関市では、長さ約九十五メートルの
奥州市では、バスが土砂崩れで林道脇の斜面に転落したが、乗っていた二十人は救助された。うち八人は負傷した。
東北新幹線の仙台以北と秋田新幹線は運転を再開できず、約十一万七千人に影響した。中には、約九時間にわたって車内に缶詰め状態となった列車もあった。東北地方の広い範囲でストップした在来線は、点検を終えた路線から運転を始めた。
文部科学省によると、地震で仙台獅子の陸奥国分寺薬師堂の欄干が落下するなど、重要文化財を含む十二の文化財に被害が出た。