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2008年06月15日(日) 02時09分

「地震だ」と声、バスが急斜面横転…乗客ら被災の瞬間証言読売新聞

バス(右下)が転落した現場からヘリで救助される被災者(14日午後3時9分、岩手県奥州市の石淵ダム付近で)

 「バスは土砂に押し流され、急斜面を横転して滑り落ちた」。岩手県奥州市の石淵ダム近くで土砂崩れに直撃されたバスの乗客が、間一髪で助かった状況を生々しく語った。

 奥州市などの住民らで作る「胆沢ダム水資源のブナ原生林を守る会」の19人と運転手の計20人が乗った貸し切りバスは自然観察会に向かう途中だった。

 同市の税理士蜂谷義昭さん(74)は「山の反対側は急斜面だった。バスが土砂に押しつぶされそうになり、頭を隠そうと、みんな座席で前かがみになった」と恐怖さめやらぬ様子。誰かが「落ち着け」と叫び、女性から車外に脱出したという。

 蜂谷さんら数人が山側の窓からはい出した後、バスは急斜面で一度横転して滑落。斜面の3本の木に引っかかって止まり、閉じ込められた乗客は、助け合って外に出た。

 運転手が近くの宿泊施設に駆け込み119番通報。午後に全員がヘリなどで救助されたが、8人が重軽傷を負った。事務局長の小野寺正英さん(64)は「けが人はタオルや服で止血した。悪寒を訴えた人にカーテンを引きちぎって渡し、意識が遠のきそうになっていた人に『大丈夫だ』と何度も声をかけた」と語った。

 主婦及川妙子さん(72)によると、現場は細い道でガードレールもなかった。「突然、運転手が『あーっ』と叫び、車内に『地震だ』と声が響いた」と振り返った。(盛岡支局 山田正敏)

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080614-2892868/news/20080614-OYT1T00721.htm