14日朝に発生した岩手・宮城内陸地震で工場設備や店舗が破損する被害の出た企業は、生産や営業の一時停止に追い込まれた。各社は被害状況の確認と復旧作業を急いでいるが、一部では生産活動の停止が長引くおそれも出ている。
富士通や松下電器産業、ソニーなど電機各社は、グループ工場が操業中に被災した。「富士通マイクロエレクトロニクス」岩手工場(岩手県金ヶ崎町)は、精密機器のLSI(大規模集積回路)を製造する装置の位置がずれたため生産を停止した。復旧に少なくとも数日間が必要で生産再開のめどは立っていない。
DVDレコーダーの電子部品などを扱う「パナソニックAVCネットワークス社」仙台工場(宮城県名取市)は従業員を午前中で帰宅させた。15日には操業を再開する見通しだ。
携帯電話などを製造する「ソニーイーエムシーエス」の千厩(せんまや)テック事業所(岩手県一関市)と、半導体レーザーを扱う「ソニー白石セミコンダクタ」(宮城県白石市)も生産を一時停止した。
サッポロビールの仙台工場(宮城県名取市)では貯水タンク(1500キロ・リットル)に亀裂が入り、水漏れが発生した。16日までにタンクの修復と工場の点検を行い、17日の復旧を目指す。
日本製紙の石巻工場(宮城県石巻市)と岩沼工場(宮城県岩沼市)では、生産中の紙が切れたが、操業を再開した。
トヨタ自動車の子会社で、グループの国内乗用車生産の1割近くを担う関東自動車工業の岩手工場(岩手県金ヶ崎町)は、生産ラインにつるした組み立て前の車体や、塗装ラインの装置が落下した。出勤した社員1人がねん挫した。15日に設備を点検し、16日に生産を再開する見通しだ。
部品の一部は中部地方から鉄道やトラックで搬送している。製造に合わせて部品を調達する「カンバン方式」の生産のため、在庫がほとんどない部品もあるという。
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