岩手県奥州市と宮城県栗原市で14日午前、震度6強を記録した岩手・宮城内陸地震は、午後も余震が続いた。両市内で新たに4人の死亡が確認され、死者は計6人になった。共同通信の集計で重軽傷は190人を超えた。また土砂崩れで倒壊した旅館の下敷きになるなどして9人が行方不明となり、孤立する施設や集落も相次いだ。
気象庁によると、午前8時43分ごろに震度6強を記録後、午後7時までに震度1以上の余震を180回観測した。震度6強は昨年の新潟県中越沖地震以来。M7を超える内陸部の直下地震は過去50年で、1995年の阪神大震災と2000年の鳥取県西部地震に続き3回目という。
官邸対策室や各県警などによると、新たに死亡が確認されたのは、奥州市の胆沢ダムの工事現場で落石を受けた作業員千葉正彦さん(48)=岩手県滝沢村、栗原市の工事現場で土砂崩れに巻き込まれた同五十嵐正巳さん(54)=山形県鮭川村、同門脇義富さん(53)=同=のほか、栗原市の湯原温泉で土砂に埋まった車の中から見つかった性別不明の1人。
栗原市の工事現場では作業員1人がなお行方不明となっている。また旅館の建物の下敷きになっているのは7人で、うち2人は宿泊客の東京都内の男女という。栗原市では、連絡が取れない人も6人いる。
孤立したのは、岩手県一関市の須川温泉の約100人や栗原市の「いわかがみ登山口」の約60人など。栗原市では4つの集落も孤立し、一関市では長さ約95メートルの祭畤(まつるべ)大橋が落下し、約20人が取り残された。それぞれ自衛隊のヘリコプターなどが救助に当たった。
奥州市では、バスが土砂崩れで林道脇の斜面に転落したが、乗っていた20人は救助された。うち8人は負傷した。
東北、山形、秋田新幹線は一時全線で運転を見合わせたが、午後1時半に山形新幹線と東北新幹線の東京—仙台間で運転を再開。東北地方の広い範囲でストップした在来線も、点検を終えた路線から運転を始めた。駅間で停車した列車は新幹線3本、在来線10本。乗客計約3300人が降車して歩いたり、バスに乗り換えるなどした。
(共同)