十四日午前八時四十三分ごろ、東北地方を中心に強い地震があり、岩手県奥州市と宮城県栗原市で震度6強を記録したほか、揺れは北海道から愛知県にかけて広い範囲で観測した。その後最大震度5弱の余震も続いた。岩手、宮城両県などで計六人が死亡したほか、共同通信の集計で重軽傷は百九十人を超えた。
さらに土砂崩れで温泉旅館の下敷きになるなどして八人が行方不明となり、孤立する施設や集落も相次いだ。
気象庁は今回の地震を「岩手・宮城内陸地震」と命名。同庁によると、震源地は岩手県内陸南部で震源の深さは約八キロ。地震の規模はマグニチュード(M)7・2と推定される。秋田県で震度5強、山形、福島両県で震度5弱を観測した。震度1以上の余震は午後七時現在百八十回に上った。
震度6強は昨年の新潟県中越沖地震以来。M7を超える内陸部の直下地震は過去五十年で、一九九五年の阪神大震災と二〇〇〇年の鳥取県西部地震に続き三回目という。
政府は官邸対策室を設置。同対策室や各県警などによると、死亡したのは、奥州市の胆沢ダム工事現場で作業中、落石に遭った岩手県滝沢村、
工事現場では、ほかにも作業員一人が行方不明となっている。また同市の駒の湯温泉にある旅館が土砂崩れで倒壊し、経営者の家族と宿泊客ら計七人が建物の下敷きになり、県警などが捜索に当たった。栗原市では、連絡が取れない人も計六人いるという。
また道路崩壊などで孤立したのは、岩手、宮城両県で約四百人に上り、ヘリコプターなどで順次救出された。
奥州市では、乗客と運転手ら計二十人が乗ったバスが土砂崩れで路外に転落。全員救出され、八人が重軽傷を負った。
岩手、宮城両県では、一時計約二万九千戸が停電。福島第一、第二、女川各原発は正常運転を続けた。東北、山形、秋田新幹線は運転を見合わせ、在来線も東北の広い範囲でストップした。
このほか、岩手県平泉町の中尊寺では、本堂の壁にひびが入るなどしたが、国宝の金色堂に被害はなかった。仙台市で予定されていたプロ野球の楽天—巨人3回戦は中止となった。
気象庁はこの地震で、大きな揺れ直前に予想震度を発表する緊急地震速報を出した。
【写真説明】<上>ダム周辺の土砂崩れ現場で崩落した道路=14日午後0時55分、岩手県奥州市で共同通信社ヘリから<下>地震被災地へ向けて飛び立つヘリに乗り込む国交省や警視庁の職員=14日午前11時34分、防衛省