岩手・宮城内陸地震で14日、震源から300キロ以上離れた東京都港区の六本木ヒルズ森タワー(54階建て)で高層階用エレベーター28基が、ゆっくりと大きな揺れが続く「長周期地震動」を検知し停止したことが分かった。
長周期地震動は大地震に伴い発生。数秒から10数秒の周期のゆっくりとした揺れが遠方まで伝わり、超高層ビルなどは地震動と共振して揺れが大きくなるとされる。
同タワーでは昨年の新潟県中越沖地震、2004年の新潟県中越地震でも、長周期地震動でエレベーターが停止。長周期地震動は中国・四川大地震でも発生し、北京でビルなどが揺れた。
森ビルによると、同タワーでは地震発生から約4分後に長周期地震動を検知し、エレベーター67基のうち、25階以上の高層階用エレベーター28基が安全確認のため最寄り階に停止。数分で復旧し閉じ込められた人はいなかった。
東大地震研究所によると、長周期地震動により、関東平野では最大幅2センチの揺れがあった。
長周期地震動は、ビルなどを大きく揺らすほか、03年の十勝沖地震では、北海道苫小牧市の石油タンク内で液面を波立たせる現象を起こし火災の原因となった。
対策は遅れており、土木学会と日本建築学会は06年、「長周期地震動が超高層建物に及ぼす影響は、設計上の想定を上回る恐れがある」とする共同提言を発表した。
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20080614-OHT1T00163.htm