2008年06月14日(土) 19時25分
【岩手・宮城内陸地震】泣き叫ぶ子供たち 保育士は手当てに追われ…(産経新聞)
「怖い」「痛い」−。震度6強を観測した岩手県奥州市の保育所では、割れた窓ガラスでけがをした子供たちの泣き叫ぶ声が響いた。余震が続く中、手当てや避難誘導に追われた保育士たち。幸い大けがに至った子供はいなかったが、余震に対し過剰に怖がる子供もいるなど、保育士からは子供たちの恐怖心を取り除けるか、“心の傷”を気にかける声が相次いだ。
同市江刺区の玉里保育所。地震発生時、1〜5歳までの13人が所内にいたが、このうち6人が割れた窓ガラスで頭を切るなどのけがをした。保育士の菅野淳子さん(33)は、登園した子供を玄関に迎えに行く途中、激しい揺れに遭遇。「避難する余裕もないほど、いきなり激しい揺れが来た」と振り返った。
その後、割れた窓ガラスの散乱した所内にいるのは危険と判断、子供たちを園庭に誘導して傷口の手当てなどを行った。その間も、計3人いる保育士の足に抱きついて離れない子供たちがいたという。菅野さんは「ガラスが割れる大きな音を聞いたり、出血を見たりした。余震にも過敏に反応して怖がっていた」と話した。
子供たちの心理的影響を心配するのは、けが人のいなかった保育所も事情は同じだ。
同市の田原保育所では、1〜2歳児6人が在所していた。目立った被害はなかったが、菊池裕樹所長は「余震が続くので、そのたびに机の下に避難しなければならない。子供が保育士の抱きついたまま離れず不安そうな表情。今後の精神的な影響が心配だ」と表情を曇らせていた。
文部科学省のまとめによれば、今回の地震で大学や小中高校など教育・研究施設で、天井板が落下したり窓ガラスが割れるなどの被害は、少なくても計75カ所に上ったという。岩手県北上市の「江釣子(えづりこ)古墳群」で石積みの一部が崩落した。
宮城県栗原市の市立一迫小学校(佐藤達也校長、児童229人)では、吹奏楽部が校内で自主練習中。4〜6年の児童27人は、「楽器はいいから床に座って!」と6年生が叫ぶと、全員が頭をかばうようにうずくまった。
同校の黒田守道教諭(33)が音楽室に駆けつけた際、児童らは校庭に避難する途中で、幸いけが人はなかったという。黒田教諭は「震える思いだった」と、経験したことのない激震を振り返った。
栗原市の市立栗駒中では、課外学習に出ていた3年の男子生徒がガラス片で腹部を切るけがをした。
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