14日午前8時43分ごろ、東北地方で強い地震があり、岩手県奥州市と宮城県栗原市で震度6強を観測、福島県と岩手県で計2人が死亡し、岩手県で1人が心肺停止状態となった。地元消防などによると岩手、宮城、山形、福島、秋田各県で少なくとも100人以上がけが。各地で多数の道路崩落や土砂崩れがあり、岩手県の温泉地など3カ所で計約240人が孤立状態になった。
気象庁によると、震源地は岩手県内陸南部で、震源の深さは約8キロ。地震の規模はマグニチュード(M)7・2と推定。震度5弱など余震とみられる揺れが続いた。気象庁は「岩手・宮城内陸地震」と命名した。
岩手、宮城両県知事の災害派遣要請を受け、陸上自衛隊が現地に出動した。政府は官邸対策室を設置、泉信也防災担当相ら政府調査団を現地に派遣した。国土交通省も4月に創設した応急復旧工事に当たる緊急災害対策派遣隊約20人を初めて出動させた。
警察によると、福島県いわき市でがけ崩れがあり、釣りをしていた同市の会社員石井道隆さん(55)が巻き込まれて海に転落して死亡。岩手県一関市の千葉友三さん(60)が、地震直後に家から飛び出しトラックにひかれ死亡した。
各地の消防によると、奥州市のダム工事現場で落石が起き1人が心肺停止状態。栗原市の工事現場で発生した土砂崩れに作業員3人が巻き込まれて行方不明になった。
奥州市の玉里保育所ではガラスが割れ、園児ら7人が負傷。宮城県名取市の道路を走行中のバスが地震でバウンドし、乗客ら23人が頭を打つなどのけが。秋田市の70代女性と山形県新庄市の60代女性は転倒して骨折した。
また奥州市で17人が乗ったバスが転落し、出られなくなったとの情報もあり、警察がヘリコプターによるつり上げを検討している。
岩手県一関市の須川温泉では客と従業員約100人が孤立、同市厳美町祭畤地区で80人、栗原市でも60人が孤立した。
一時は約2万9千戸が停電。断水も発生するなどライフラインに影響も出た。
東京電力や東北電力によると、福島第一、第二原発、女川原発に異常はなく、正常運転を続けた。
国土交通省によると、東北、山形、秋田新幹線は運転見合わせ。在来線も東北地方の広い範囲でストップし、仙台市地下鉄も全線で見合わせた。
岩手県平泉町の中尊寺では本堂の壁にひびが入り灯籠も倒れたが、国宝の金色堂に被害はなかった。
気象庁はこの地震で、地震の大きな揺れの直前に予想震度を発表する緊急地震速報を出した。
(共同)