十四日午前八時四十三分ごろ、東北地方で強い地震があり、岩手県奥州市と宮城県栗原市で震度6強を記録した。町村信孝官房長官は福島県と岩手県で計二人が死亡したと発表。地元消防などによると、岩手、宮城、山形、福島各県で少なくとも百人以上がけが。また橋が落下、民家が倒壊するなど深刻な被害も出ている。
気象庁によると、震源地は岩手県内陸南部で、震源の深さは約一〇キロ。地震の規模はマグニチュード(M)7・0と推定される。その後も震度5弱など余震とみられる揺れが続いた。
政府は官邸対策室を設置。泉信也防災担当相ら政府調査団を現地に派遣する。防衛省は自衛隊のヘリコプターや哨戒機、戦闘機で上空から被災状況の確認を始めた。
東京電力や東北電力によると、福島第一、第二原発、女川原発に異常はないという。
町村官房長官によると、福島県で釣り中にがけ崩れに遭い一人が死亡、岩手県で地震直後に家から飛び出した一人がトラックにひかれ死亡した。
各地の消防によると、栗原市の工事現場で土砂崩れが発生、作業員一人が巻き込まれて行方不明になった。奥州市のダム工事現場では落石で一人が心肺停止状態。
奥州市の玉里保育所ではガラスが割れ、園児七人が負傷。宮城県名取市の道路を走行中のバスが地震でバランスを崩し、乗客ら二十五人が頭を打つなどのけが。仙台市の仙台医療センターによると、橋の上でバスが横転し二十数人がけがをした。山形県新庄市でも六十代女性が転倒して肩を骨折した。
警察庁によると、宮城県内のけが人は二十五人、岩手県内で八人。
JR東日本によると、東北新幹線は仙台—一ノ関間で通電しない状態で、大宮—八戸間が運転休止中。仙台市地下鉄は全線で運転を見合わせた。
仙台市内の河北新報ビル内の共同通信では、強い縦揺れの後、大きな横揺れがあり、机の上の書類が落ちるなどした。
気象庁はこの地震で、地震の大きな揺れの直前に予想震度を発表する緊急地震速報を出した。
【写真説明】地震で陥没した岩手県奥州市胆沢区の道路=14日午前11時40分
【写真説明】地震被災地へ向けて飛び立つヘリに乗り込む国交省や警視庁の職員=14日午前11時34分、防衛省