2008年06月12日(木) 15時11分
“優しさ”は動物にも伝わるんだ!(オーマイニュース)
5月25日、掲載された記事「
美幌峠の白い犬 」で紹介した美幌峠に住んでいた白い犬・テツに会いに、新たな居場所となった弟子屈町へ行った。
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5月下旬、美幌峠では、観光客の交通安全と、美幌峠の発展を願う祭りが行われた。なんと今回で54回目の開催とのこと。玉ぐし奉てんなどの神事やテープカットの後、「阿寒」、「弟子屈」、「川湯」から来られたアイヌの方々の神格であるカムイを帰す儀式「カムイノミ」が行われ、続いて舞踊が披露される。
テツもこの祭りを見たのだろうか。そう思いながら美幌峠から約35キロ離れたところにある弟子屈町へと車を走らせた。
昨年、私の記事が掲載されてまもなく、テツは弟子屈町に住む、たこ焼き屋を営む夫婦に引き取られたと地元紙で伝えられた。冬の美幌峠を考えると、その記事を読み安堵(あんど)したことを思い出す。
弟子屈町に到着し、数人の町内の方に道を聞き、やっと「てつ」が飼われている京風たこ焼きの「たこまつ屋」さんに到着。
「てつ」は「たこまつ屋」さんの店先にいた。「おー、テツ! 元気そうだなぁ」と思わず近寄り、頭をなでた。「てつ」はすっかり人懐こくなっており、飛びついてきた。
峠で最初に会ったときは、1メートルぐらいまでしか近づけなく、常に一定の距離を保っていたが……。
テツは昨年とは違い、毛並みもよく、目も穏やかになっていた。テツの周りの方々の愛情がテツを穏やかにさせたのだろう。
テツを飼うことになった「たこまつ屋」のご主人と奥さんにお話を伺った。
昨年6月。テツに会いに彼らは美幌峠に立ち寄り、いつもの再会をしたという。そして、テツに「また会いにくるからね」と言い、車を弟子屈町の自宅へ向けて走らせたとき、テツはご夫婦の車を追いかけてきたという。
日が落ち、あたりが暗いなか、テツの目が光っていたそうだ。
何かの縁なのか、テツがこの人たちなら、と思ったのか、このことをきっかけにテツを飼うことにしたそうだ。
また、彼らは私が書いた昨年の記事も読んでくれていた。現在も、美幌峠で知ったテツに会いに、遠方から来る人が多いという。
野良犬は捕まり、飼い主がいない場合、処分される。また、餌を与えられなかった犬が檻のなかで餓死したなどというニュースを見るたび、やるせない思いがしていた。
何かの縁でテツと出会い、飼うことになったご夫婦。その縁を大切に育てているご夫婦のやさしさが、何よりも大切なのだと感じた。
テツの幸せそうな姿を見て、やさしさは人にも動物にも伝わり、私の心までも癒やしてくれた。
また、「会いに来るからね」とテツに別れを告げて帰路についた。
(記者:渡辺 良一)
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